<朝鮮語>『帰属財産』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2023年12月公開)
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アジア情報室 作成
배석만(ペ・ソンマン)『귀속재산(帰属財産)』서울, 해남, 2023.6, 128 p【DC147-K337】
キーワード
韓国、脱植民地化、経済史
著者情報
著者のぺ・ソンマンは、近現代韓国経済史を専門とする研究者であり、2005年に、「1930-50年代造船工業政策と造船会社の経営」と題する論文で釜山大学校の博士号を取得した。現在は、高麗大学校研究教授等を務める。
出版の背景・目的
本書は、ソウル大学校の「韓国経済市民講座」シリーズの第6巻として刊行された。
帰属財産とは、第二次世界大戦終了時点で朝鮮半島に残されていた日本政府や日本の法人・個人所有の財産のうち、米軍が占領した38度線以南に存在したものを指す。同財産は米軍政庁により接収され、大韓民国成立後、韓国政府に移譲された。
本書のポイント
筆者は、帰属財産が、日本帝国により推し進められた植民地朝鮮の「近代化」の実態を把握し得る研究材料であるだけでなく、独立後の韓国の国家建設で「植民地遺産」が果たした役割を示す素材でもあると定義づけている。その上で、韓国の学界で蓄積された先行研究の成果に立脚しつつ、帰属財産の規模を示した上で、米軍政庁と韓国政府による同財産の処理のプロセスを素描している。
本書は、植民地支配終焉後の韓国の歴史が、植民地時代とどのように連続し、如何なる部分で断絶しているのかという点について理解を深めるために有用である。
目次
まえがき
目次
はじめに
1帰属財産とは何か
概念と規模
研究の現況と争点
2米軍政の接収、管理
凍結と帰属
管理と小規模の払い下げ
3政府の樹立と帰属財産処理
移管と処理法制定
戦時処理再開と結果
41960年代以後の財産処理
未処理財産の存在と問題点
未処理財産の清算過程
おわりに
補論 日本の在外財産処理
参考文献
索引
(アジア情報課 野間 俊希)