<朝鮮語>『韓国社会の多文化現象理解 : 7つのキーワード、時期別で理解する』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2024年3月公開)

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アジア情報室 作成

권오경(クォン・オギョン)ほか『한국사회의 다문화현상 이해 : 7가지 키워드, 시기별로 이해하는(韓国社会の多文化現象理解 : 7つのキーワード、時期別で理解する)』 파주, 한국학술정보 2023.2 【DC821-K196

キーワード

韓国、多文化共生、外国人労働者

著者情報

本書の筆頭著者であるクォン・オギョンは、釜山外国語大学校多文化研究所所長であるとともに、「多文化社会と教育研究学会」会長を務める。

出版の背景・目的

本書序論は韓国の多文化社会化の現状について触れ、外国人住民の増加によって、従来にはなかったような新たな社会問題、例えば韓国人との間の人種・文化的摩擦、国際結婚による移住者の適応問題、多文化家庭の子ども達の学校生活問題等が見受けられるようになったという。しかし、同時に、こうした外国人をめぐる社会の急速に変化について、いつ、どのように移り変わってきたのかに関する説明は十分になされてこなかったと述べる。

本書は、こうした不十分な部分について具体的に解説するとともに、多文化社会に対する適切な現状認識を提供し、学習者や関係者をはじめ、広く市民が多文化社会を理解、受容できるようにすることを目的として刊行された。

本書のポイント

本書は多文化社会の現状を理解するキーワードとして、構成員、歴史、家族、政策、集住地域、教育、法律の7つを挙げ、各章でそれぞれについて解説を行っている。

特に第5章では、外国人労働者受入や社会統合等のための政策について取り上げられるほか、第8章では国籍法、出入国管理法、在韓外国人処遇基本法、多文化家族支援法等、9つの関連法令について、その内容と限界点を紹介しており、多文化共生政策に関する韓国の現状を知ることができる。

目次

第1章 序論

第2章 韓国社会の多文化構成員の理解
1.統計で理解する韓国の多文化構成員

第3章 韓国社会の多文化の歴史の理解
1.1860年から1945年までの韓国のディアスポラの歴史
2.朝鮮戦争以後の時期の韓国社会と多文化現象
3.1965年から1980年代中盤までの時期の多文化現象
4.1980年代後半以降の時期の多文化現象

第4章 韓国社会の多文化家族の理解
1.多文化家族の出現
2.多文化家族政策と関連省庁
3.多文化家族支援機関とプログラム

第5章 韓国社会の多文化政策の理解
1.多文化理論
2.外国人労働者の雇用政策及び在韓外国人政策
3.外国人政策と多文化家族支援政策の基本計画

第6章 韓国社会の多文化集住地域の理解
1.外国人の国内未登録? 不法滞在?
2.国内の外国人集住地域

第7章 韓国社会の多文化教育の理解
1.多文化教育と多文化家庭の児童のための韓国語教育
2.大学の多文化専攻とビジョン

第8章 韓国社会の多文化個別法の理解
1.韓国社会の多文化個別法制定の必要性
2.韓国社会の多文化共通基本法
3.結婚移民者及び外国人労働者関連法
4.朝鮮民族及び難民関連法

第9章 結論

用語整理
参考文献

関連する国立国会図書館刊行物収載の文献

小針泰介「賃金から見た外国人労働者問題」『調査と情報』(1024), 2018.11., https://dl.ndl.go.jp/pid/11180195
「小特集 欧州における外国人受入れの諸相」『外国の立法 : 立法情報・翻訳・解説』(297-1), 2023.10., https://dl.ndl.go.jp/pid/13013002

(アジア情報課 河村 真澄)