CDR-J検査(臨床認知症評価尺度-日本版)の標準化について : 標準化によって明らかにされたJ-ADNI研究の問題点 (第28回 認知神経科学会学術集会)
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書誌情報
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- 資料種別
- 記事
- 著者・編者
- 杉下 守弘竹内 具子逸見 功
- シリーズタイトル
- 並列タイトル等
- Standardization of the Clinical Dementia Rating-Japanese (CDR-J) to clarify problems with the study of the Japanese Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative (J-ADNI)
- タイトル(掲載誌)
- 認知神経科学 = Japanese journal of cognitive neuroscience / 認知神経科学編集委員会 編
- 巻号年月日等(掲載誌)
- 25(3・4):2023.12
- 掲載巻
- 25
- 掲載号
- 3・4
- 掲載ページ
- 103-124
- 掲載年月日(W3CDTF)
- 2023-12
- ISSN(掲載誌)
- 1344-4298
- ISSN-L(掲載誌)
- 1344-4298
- 出版事項(掲載誌)
- [東京] : 認知神経科学会
- 出版地(国名コード)
- JP
- 本文の言語コード
- jpn
- NDLC
- 対象利用者
- 一般
- 所蔵機関
- 国立国会図書館
- 請求記号
- Z74-B622
- 連携機関・データベース
- 国立国会図書館 : 国立国会図書館雑誌記事索引
- 書誌ID(NDLBibID)
- 033287237
- 整理区分コード
- 632
- 要約等
- <p> The Clinical Dementia Rating-Japanese (CDR-J) has been widely used as a representative test for dementia in Japan to estimate the remedial value of anti-dementia drugs such as lecanemab. However, when investigating the remedial value of a new anti-dementia drug, whether the CDR-J is correctly administered to the subject and whether the results are correctly rated remain unclear, which leads to concerns about its validity and reliability. To address these questions and uneasiness, standardization of the CDR-J is necessary. Here, standardization refers to the process of creating a standardized test that satisfies the following four conditions:1) Establish instructions for the CDR-J;2) Fix the rating criteria for the CDR-J;3) Achieve high test validity;and 4) Achieve high test reliability.</p><p> A total of 545 subjects were studied in the Japanese Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative (J-ADNI), among whom, 113 had either confirmed or suspected falsification of data and were therefore excluded, leaving a total of 432 subjects eligible to be studied for standardization of the CDR-J:</p><p> 1. Establish instructions for the CDR-J. The following four types of errors were found.</p><p> 1) Errors involving insufficient information in the answers for an episodic memory task were observed in 135 (31.3%) of the 432 subjects. These errors were the result of the examiner neglecting the test instructions.</p><p> 2) Illegible handwriting in the episodic memory task was observed in 24 (5.6%) subjects. This error type could have been avoided if the examiner had taken appropriate precautions.</p><p> 3) Repetition errors in the name and address memory task were observed in 19 (4.4%) subjects. These errors were also the result of the examiner neglecting the test instructions.</p><p> 4) A blank space error refers a missing answer without any comments. A blank space error on one or more of the 79 test items on the CDR-J was observed in 188 subjects (43.5%). These errors were also the result of the examiner neglecting the test instructions. Some of the J-ADNI examiners did not imagine that a blank space error would make it impossible to rate the results of the CDR-J.</p><p> One or more of the above four types of errors occurred in 297 subjects (68.8%). In other words, part of the CDR-J was inappropriately performed.</p><p> 2. Fix the rating criteria for the CDR-J</p><p> After excluding these 297 subjects, a total of the 135 were left for further analysis.</p><p> These 135 subjects had been rated by the J-ADNI examiner and were rated again by us.</p><p> A rating error was found in 69 (51.1%) of these subjects. These rating errors were caused by the J-ADNI examiner, who failed to follow the rating criteria of the CDR-J rating table.</p><p> 3. Achieve high test validity. Excluding the 69 subjects who had rating errors from the 135 subjects left a total of 66 subjects for further analysis of criterion-based validity. Both global CDR and the sum of box scores were strongly significantly correlated (p< 0.0001) with scores on the Japanese version of the Mini-Mental State Examination (MMSE-J). The MMSE-J is a typical test for dementia, and the CDR-J is considered to be a clinically applicable instrument for dementia. To evaluate the clinical validity of the CDR-J, the cutoff scores among the normal, mild cognitive impairment (MCI), and Alzheimer’s disease (AD) groups were calculated based on global CDR and the sum of box scores. The results showed that the sum of box score, but not the global CDR score, was able to differentiate between the MCI and AD groups.</p><p>【View PDF for the rest of the abstract】</p><p>【要旨】 CDR検査は認知症の本格的検査として本邦で広く使用され、認知症治療薬レカネバブの治療効果判定にも用いられた検査である。しかし、CDR検査で新薬の治療効果などを調べていても、CDRが正しく施行されているのだろうか、また、検査結果が適切に採点されているのだろうか、などの疑問がある。さらに言えば、CDR検査は認知症の検査として、妥当性があり、認知症を測定しているのだろうか? また、信頼性があり、二度検査した場合、同じ結果がえられるのであろうか?という不安が生ずる。これらの疑問や不安に答えるためには、CDR検査の標準化が必要である。標準化とは、1. 検査の指示の仕方が定められている。2. 検査の採点の仕方が定められていて、客観的である。3. 妥当性が高い。4. 信頼性が高い、の4条件を満たす標準(化)検査を作成する過程を言う。CDR-J検査は本研究を開始する前に1と2は作成されていたが、実際に実施したことがなかったので、確認をすることにした。3と4は算出されたことがなかったので算出した。我々はJ-ADNI研究で実際の検査をされた545例から問題例113例を除いた432例を対象とした。</p><p> 1. CDR-J検査の実施に関する指示の確立。実際にCDR-J検査を行ってみると指示に関する4つ誤りが見出だされた。1) エピソード記憶課題で、検査者が「情報の数に関する指示」に従わない。2) エピソード記憶課題で、「検査者が検査結果を、第三者が読めるように書く」という検査の前提を守らない。3) 記憶再生課題である木村三郎課題の実施に関する指示を検査者が守らない。4) 空欄を作らないという指示を検査者が守らない。などによって誤りが生じた。4種の指示を守っていないという誤りのうち1種以上の誤りがあった被験者が432例中297例(68.8%)あった。</p><p> 2. CDR-J検査の採点(評価)基準の固定。全被験者432例のうち、CDR-J検査の指示に誤りのあった297例を除いた135 例について検討した。135例中、69 例(51.1%)にCDR-J検査採点(評価)の誤りがあった。CDR-J検査の6つのカテゴリーのうち、記憶カテゴリーの評価誤りが最も多かった。評価の誤りが多い原因として、検査者が評価に関する指示に従わないこと、採点が難しいこと、及びCDR原版に由来する評価の曖昧さなどが考えられる。指摘された。なお、1と2について、誤りが異常に多い点は、J-ADNI研究の問題点として重視すべきである。</p><p> 3. 妥当性。135例のうち採点の誤りのなかった66例を対象として検討した。包括的CDR得点とSum of Box得点のいずれも、代表的認知症スクリーニング検査であるMMSE-J検査の合計点と強い相関(<i>p</i><.0001)が認められた。したがって、CDR-J検査は認知症の検査として、基準関連妥当性があるといえる。臨床的妥当性を見るために、包括的CDR得点とSum of Box得点でNL群とMCI、および軽度AD群間のカットオフ値を求めた。包括的CDR得点とSum of Box得点を比較すると、Sum of Box得点の方がMCIとADをほぼ鑑別できるので、包括的CDR得点より正確な診断が可能である。</p> <p> 4. CDR-J 検査の信頼性。CDR-J 検査の 6 つのカテゴリーの信頼性を検討するために、6カテゴリーの内的一貫性を検討した。アルファ係数は高く0.89であった。しかし、項目―全体得点相関を算出してみると。身の回りの世話カテゴリーは0.30と低く。他の5つのカテゴリーは0.76と高かった。したがって、身の回りの世話カテゴリーは 6 カテゴリーの内的一貫性を損ねるカテゴリーであることが明らかになった。</p> <p><b>標準化によって明らかにされた J- ADNI 研究の問題点</b></p> <p> 1. CDR-J 検査データベースの訂正が必要である。J-ADNI 研究の代表研究者の岩坪威氏は2016年1月末にJ-ADNIのCDR-J検査の結果を公表している。本研究と杉下、竹内(2023)の研究はこのデータは多くの誤りを含んでいることを明らかにした。したがって、岩坪威氏が 報 告 し た デ ー タ( 日 本 科 学 技 術 振 興 機 構(2016))(http://humandbs.biosciencedbc.jp/hum0043-vl).<sup>10)</sup>を訂正する必要がある。</p> <p> 2. CDR-J 検査の実施において、検査実施の指示が厳守され、カテゴリー評価が正しくおこなわなければならない。</p> <p> 3. 過去の治療効果研究や臨床研究で CDR-J 検査を実施した研究(たとえば、Iwatsubo T(2018))<sup>12)</sup>では、検査実施の指示が厳守され、カテゴリー評価が正しく行われたのか検討する必要がある。</p> <p> 4. 治験や研究で心理検査を用いる場合は、標準化された心理検査でなければならない。本研究と杉下、竹内(2023)の研究により、CDR- J検査の実施に関する4種の誤りが多数生じたこと、CDR-J検査の採点(評価)については、カテゴリーの評価誤りが多いことが明らかになった。また、本研究により妥当性と信頼性がかなり高いことが明らかにされた。CDR-J検査は検査実施の指示が厳守され、カテゴリー評価が正しく行われれば、認知症治療薬の効果測定や認知症の症状把握に用いることができるレベルに達したと考えられる。</p>
- DOI
- 10.11253/ninchishinkeikagaku.25.103
- オンライン閲覧公開範囲
- インターネット公開
- 連携機関・データベース
- 科学技術振興機構 : J-STAGE
- 要約等
- <p>【要旨】 CDR検査は認知症の本格的検査として本邦で広く使用され、認知症治療薬レカネバブの治療効果判定にも用いられた検査である。しかし、CDR検査で新薬の治療効果などを調べていても、CDRが正しく施行されているのだろうか、また、検査結果が適切に採点されているのだろうか、などの疑問がある。さらに言えば、CDR検査は認知症の検査として、妥当性があり、認知症を測定しているのだろうか? また、信頼性があり、二度検査した場合、同じ結果がえられるのであろうか?という不安が生ずる。これらの疑問や不安に答えるためには、CDR検査の標準化が必要である。標準化とは、1. 検査の指示の仕方が定められている。2. 検査の採点の仕方が定められていて、客観的である。3. 妥当性が高い。4. 信頼性が高い、の4条件を満たす標準(化)検査を作成する過程を言う。CDR-J検査は本研究を開始する前に1と2は作成されていたが、実際に実施したことがなかったので、確認をすることにした。3と4は算出されたことがなかったので算出した。我々はJ-ADNI研究で実際の検査をされた545例から問題例113例を除いた432例を対象とした。</p><p> 1. CDR-J検査の実施に関する指示の確立。実際にCDR-J検査を行ってみると指示に関する4つ誤りが見出だされた。1) エピソード記憶課題で、検査者が「情報の数に関する指示」に従わない。2) エピソード記憶課題で、「検査者が検査結果を、第三者が読めるように書く」という検査の前提を守らない。3) 記憶再生課題である木村三郎課題の実施に関する指示を検査者が守らない。4) 空欄を作らないという指示を検査者が守らない。などによって誤りが生じた。4種の指示を守っていないという誤りのうち1種以上の誤りがあった被験者が432例中297例(68.8%)あった。</p><p> 2. CDR-J検査の採点(評価)基準の固定。全被験者432例のうち、CDR-J検査の指示に誤りのあった297例を除いた135 例について検討した。135例中、69 例(51.1%)にCDR-J検査採点(評価)の誤りがあった。CDR-J検査の6つのカテゴリーのうち、記憶カテゴリーの評価誤りが最も多かった。評価の誤りが多い原因として、検査者が評価に関する指示に従わないこと、採点が難しいこと、及びCDR原版に由来する評価の曖昧さなどが考えられる。指摘された。なお、1と2について、誤りが異常に多い点は、J-ADNI研究の問題点として重視すべきである。</p><p> 3. 妥当性。135例のうち採点の誤りのなかった66例を対象として検討した。包括的CDR得点とSum of Box得点のいずれも、代表的認知症スクリーニング検査であるMMSE-J検査の合計点と強い相関(<i>p</i><.0001)が認められた。したがって、CDR-J検査は認知症の検査として、基準関連妥当性があるといえる。臨床的妥当性を見るために、包括的CDR得点とSum of Box得点でNL群とMCI、および軽度AD群間のカットオフ値を求めた。包括的CDR得点とSum of Box得点を比較すると、Sum of Box得点の方がMCIとADをほぼ鑑別できるので、包括的CDR得点より正確な診断が可能である。</p> <p> 4. CDR-J 検査の信頼性。CDR-J 検査の 6 つのカテゴリーの信頼性を検討するために、6カテゴリーの内的一貫性を検討した。アルファ係数は高く0.89であった。しかし、項目―全体得点相関を算出してみると。身の回りの世話カテゴリーは0.30と低く。他の5つのカテゴリーは0.76と高かった。したがって、身の回りの世話カテゴリーは 6 カテゴリーの内的一貫性を損ねるカテゴリーであることが明らかになった。</p> <p><b>標準化によって明らかにされた J- ADNI 研究の問題点</b></p> <p> 1. CDR-J 検査データベースの訂正が必要である。J-ADNI 研究の代表研究者の岩坪威氏は2016年1月末にJ-ADNIのCDR-J検査の結果を公表している。本研究と杉下、竹内(2023)の研究はこのデータは多くの誤りを含んでいることを明らかにした。したがって、岩坪威氏が 報 告 し た デ ー タ( 日 本 科 学 技 術 振 興 機 構(2016))(http://humandbs.biosciencedbc.jp/hum0043-vl).<sup>10)</sup>を訂正する必要がある。</p> <p> 2. CDR-J 検査の実施において、検査実施の指示が厳守され、カテゴリー評価が正しくおこなわなければならない。</p> <p> 3. 過去の治療効果研究や臨床研究で CDR-J 検査を実施した研究(たとえば、Iwatsubo T(2018))<sup>12)</sup>では、検査実施の指示が厳守され、カテゴリー評価が正しく行われたのか検討する必要がある。</p> <p> 4. 治験や研究で心理検査を用いる場合は、標準化された心理検査でなければならない。本研究と杉下、竹内(2023)の研究により、CDR- J検査の実施に関する4種の誤りが多数生じたこと、CDR-J検査の採点(評価)については、カテゴリーの評価誤りが多いことが明らかになった。また、本研究により妥当性と信頼性がかなり高いことが明らかにされた。CDR-J検査は検査実施の指示が厳守され、カテゴリー評価が正しく行われれば、認知症治療薬の効果測定や認知症の症状把握に用いることができるレベルに達したと考えられる。</p>
- DOI
- 10.11253/ninchishinkeikagaku.25.103
- 関連情報(URI)
- 連携機関・データベース
- 国立情報学研究所 : CiNii Research
- 提供元機関・データベース
- Japan Link Center雑誌記事索引データベース
- 書誌ID(NDLBibID)
- 033287237