タイトル(掲載誌)福井大学 重点研究成果集2009 ―明日への挑戦―
一般注記橋本脳症は,橋本甲状腺炎にともなう自己免疫性脳症であり,抗甲状腺抗体の存在とステロイド反応 性から診断されている.しかし,多彩な神経徴候と抗甲状腺抗体の正常人口での高い陽性率から,臨床 診断は容易ではない.我々は,橋本脳症患者血清中にα-enolase のアミノ基(NH2)末端側に対する自 己抗体(抗NAE 抗体)が特異的に存在することをプロテオーム解析によって初めて見出し,現在,国内 外の450 名以上の患者の抗NAE 抗体を解析中である.今回,十分な臨床情報が得られた84 名の橋本脳 症患者の抗NAE 抗体と臨床像を検討した.抗NAE 抗体は44%に陽性で,橋本脳症の診断における有用性 が確認された.橋本脳症はステロイド反応性良好な急性脳症型を呈することが多いが,他の臨床型も存 在し,広い臨床スペクトラムを有する疾患であることが判明した.また,年齢は二峰性分布を呈し,血 清の抗体価は高力価群と低力価群が存在することも明らかになった.さらに,HLA-B59 との関連も示唆 された.抗NAE 抗体陰性の橋本脳症患者のプロテオーム解析から,新たな抗原候補も同定され,橋本脳 症の免疫学的多様性が示唆された.
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