博士論文
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長周期地震動による超高層建物での家具の地震時挙動と室内被害把握
資料に関する注記
一般注記:
- 本論文は、「長周期地震動による超高層建物での家具の地震時挙動と室内被害把握」と題し、以下の5章より構成されている。 第1章「はじめに」では、長周期地震動による超高層建物での室内被害を対象とした本研究の背景と目的について述べている。まず、南海トラフの巨大地震が発生した場合、長周期地震動により超高層建物...
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書誌情報
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デジタル
- 資料種別
- 博士論文
- 著者・編者
- 正月, 俊行Masatsuki, Toshiyuki
- 出版年月日等
- 2015-03
- 出版年(W3CDTF)
- 2015-03
- 並列タイトル等
- Comprehension of seismic behavior of furniture and indoor damage in high-rise buildings due to long period ground motion
- 授与機関名
- 東京工業大学
- 授与年月日
- 2015-03-26
- 報告番号
- 甲第9844号
- 学位
- 博士(工学)
- 本文の言語コード
- jpn
- 対象利用者
- 一般
- 一般注記
- 本論文は、「長周期地震動による超高層建物での家具の地震時挙動と室内被害把握」と題し、以下の5章より構成されている。 第1章「はじめに」では、長周期地震動による超高層建物での室内被害を対象とした本研究の背景と目的について述べている。まず、南海トラフの巨大地震が発生した場合、長周期地震動により超高層建物で大きな揺れが発生すると予測されており、室内における家具の転倒・移動による被害が懸念されていることに言及している。このような室内被害を事前に予測しておくことは重要であるが、既往の予測手法では、長周期・大振幅の揺れにより大きく滑動した家具が衝突しあう影響が考慮出来ないことや、家具が単純な矩形の形状であるという仮定に当てはまらない複雑な家具は危険な家具であっても評価が難しいことの2つの問題点を指摘している。以上を踏まえ、既往の手法で評価出来ない複雑な家具の地震時挙動について振動台実験を行って検討した上で、振動台実験を再現出来るシミュレーションモデルを構築し、家具同士・壁との衝突や複雑な家具の挙動を考慮に入れて超高層建物の室内の家具群の地震時挙動をシミュレーションし、長周期地震動により発生する室内被害の状況を把握することが、本研究の目的であると述べている。 第2章「長周期振動台を用いた複雑な家具の振動台実験」では、住居やオフィスにある既往の手法では評価出来ない複雑な家具4種類(冷蔵庫、薄型テレビ、コピー機、パーティション)に対して振動台実験を行って、長周期地震動による家具単体の地震時挙動の特徴について分析している。実験の結果、1)冷蔵庫については、加振加速度250cm/s2から滑動し始め、300cm/s2以上では移動量が50cm以上、400cm/s2以上では1m以上になり得ること、2)薄型テレビについては、首振りの影響により長周期の揺れでは既往の転倒限界式よりもやや小さい加速度で転倒に至ること、3)コピー機については、4つのキャスターの内2つのみがロックされている場合、継続時間が長い長周期地震動では累積の移動量が大きくなること、4)I字型パーティションについては、首振りの挙動により既往の転倒限界式の半分以下の加速度で転倒に至ること等、複雑な挙動を示すことを明らかにしている。 第3章「シミュレーションによる振動台実験の再現」では、最初に、本研究で用いるシミュレーション手法である個別要素法の概要を説明している。そして、2章で振動台実験を行った4種類の家具に対して計算モデルを構築して振動台実験の再現を実施し、実験の挙動を概ね再現出来ることを確認している。冷蔵庫については、内容物が冷蔵庫の地震時挙動に与える影響について数値実験を実施し、内容物がある場合は150cm/s2程度で扉や引出しが開き始め、揺れが大きい場合は、内容物の散乱を伴いながら前後の壁と激しく衝突を繰り返すため、人的被害や避難困難を引き起こす可能性が高いことを示している。 第4章「長周期地震動による室内被害の把握」では、3章で構築した計算モデルを用いて、超高層住居やオフィスの一部屋を想定した家具群の地震時挙動シミュレーションを実施し、長周期地震動により発生する被害状況について考察するとともに、既往の手法による評価結果との違いについて検討している。シミュレーションの結果、住居では、床応答加速度が450cm/s2以上になると、キャスター無の家具でも移動量が5m、移動速度は200cm/sを超える場合があり、オフィスでは500cm/s2以上になると、キャスター無の家具の移動量が最大10m前後、移動速度は最大700cm/s前後にもなり、固定されていない全ての家具が周囲の家具や壁と激しく衝突しながら滑動する危険な状況が長時間続くことを明らかにしている。また、シミュレーション結果と既往の簡易手法の結果を比較し、簡易手法の適用範囲を確認している。その結果、超高層住居では、床応答加速度が450 cm/s2程度、オフィスでは不安定なパーティションが無い場合は250 cm/s2程度、ある場合は100 cm/s2程度より大きい揺れに対して予測を実施する際は、簡易手法の結果が過小となる可能性が高いため、シミュレーションを用いた評価を実施する必要性がある事を指摘している。室内被害軽減策の効果についても検討しており、家具の固定が重要ではあるが、固定が難しいものについては、滑り止め等の滑動を抑える対策を講じておくことで、人が負傷する可能性が小さくなり、室内の人が避難したり防御の姿勢を取る時間的な猶予も増えることを明らかにしている。 第5章「結論」では、本研究で得られた成果を総括している。 以上を要するに、本論文では、既往の被害予測手法では評価が困難な住居とオフィスにある家具に対して、長周期地震動による単体の地震時挙動について振動台実験を用いて検討し、実験を再現出来る計算モデルを構築した上で、室内を想定した家具群のシミュレーションを行い、室内被害低減のための基礎資料として超高層建物の室内被害の状況の把握と既往の簡易手法の適用性や対策の効果の確認を行ったものである。Severe indoor damage by overturn or move of furniture would occur in high-rise buildings due to long period ground motion in case a megathrust earthquake happened. It is important to predict indoor damage and take measures to it. In this study, the indoor damage in high-rise residential and office buildings due to long period ground motion was predicted, considering the seismic behavior of furniture with a complex form and collision between a number of furniture or between furniture and wall, which are not able to be considered by preceding simple methods. The feature of the seismic behavior of four furniture with a complex form (a refrigerator, a flat TV, a copy machine, and a partition), which preceding simple methods are not applicable to, was revealed using shaking table tests. The simulation models of these furniture for Distinct Element Method were constructed and the validity of these model was confirmed. Then, the indoor damage during an earthquake in high-rise residential and office buildings was simulated using these models. The results of the simulation show that, in case the floor response is large, all of unfixed furniture continue to move around and collide against each other or wall for a few minutes, so the risk of injury is high and the evacuation would be difficult under such situation. Comparison of the simulation result with the result by the simple methods revealed that the simple methods underestimate the indoor damage in case floor response is large. The simulation with countermeasure such as fixing furniture or using antiskid furniture also conducted to confirm the effects of countermeasure.identifier:oai:t2r2.star.titech.ac.jp:50265181
- 記録形式(IMT)
- application/pdf
- 一次資料へのリンクURL
- http://t2r2.star.titech.ac.jp/rrws/file/CTT100682814/ATD100000413/thesis_10D53021_正月俊行.pdf (fulltext)
- オンライン閲覧公開範囲
- インターネット公開
- 連携機関・データベース
- 国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)
- 提供元機関・データベース
- 東京工業大学 : 東京工業大学リサーチリポジトリ