博士論文
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熱と電気の連成シミュレーションによるGaN HEMT高周波パワーアンプの高性能化に関する研究
資料に関する注記
一般注記:
- Gallium nitride (GaN) high-electron-mobility transistors (HEMTs) are used in arious power amplifiers (PA) operating at radio frequency (RF). A self-he...
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書誌情報
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デジタル
- 資料種別
- 博士論文
- 著者・編者
- 日浦, 滋
- 著者標目
- 並列タイトル等
- A Study on Performance Improvement of GaN HEMT RF Power Amplifier Based on Electrothermal Co-Simulation Technique
- 授与機関名
- 電気通信大学
- 授与年月日
- 2018-03-23
- 報告番号
- 甲第922号
- 学位
- 博士(工学)
- 本文の言語コード
- jpn
- 対象利用者
- 一般
- 一般注記
- Gallium nitride (GaN) high-electron-mobility transistors (HEMTs) are used in arious power amplifiers (PA) operating at radio frequency (RF). A self-heating effect in GaN HEMTs causes a transient variation of the electrical characteristics, which degrades the reliability of the PA circuit design. In this thesis, a methodology for designing accurate GaN HEMT PA circuits based on an electrothermal co-simulation technique is reported. As examples, this method was applied to a high-switching-speed power supply and an envelope-tracking PA design. In chapter 1, the background to this thesis is explained. The above-mentioned thermal effect affects the MHz-order temperature variation. Then, this thesis addresses the issue of building the electrothermal co-simulation environment for high-speed operation of MHz order. A basic flow diagram of the electrothermal co-simulation in previous works is referred. The novel points in this thesis are summarized as an increase in the accuracy of the electric model, simulation-model constructions for actual operation conditions, and the establishment of RF data extraction methods from the simulation results to estimate PA performances. In chapter 2, a switch-mode PA for a high-switching-speed power supply is analyzed. The switching loss in a very short time generates most of the heat in the PA and increases under higher-frequency operation. Thus, the accuracy of the electrothermal co-simulation must be improved. For this purpose, parameters of an Angelov large-signal transistor model including its temperature dependence were precisely extracted to emulate GaN HEMT behavior. The simulation results for a half-bridge inverter including the switch-mode PA showed a significant operation characteristic that cannot be estimated from an approximated mathematical analysis at MHz-order modulation frequencies. In chapter 3, a PA with dynamic drain voltage biasing for wireless high-speed communication systems is analyzed. Before the simulation, a theoretical analysis considering the temperature variation of the amplitude modulation (AM) ‒AM and AM‒phase modulation (PM) characteristics was carried out. From the results, it was predicted that the AM‒AM and AM‒PM hystereses during the rise and fall periods of the RF signal envelope were induced by the thermal effect. It was confirmed that the AM‒AM and AM‒PM hystereses were precisely emulated by the electrothermal co-simulation. In chapter 4, a fabricated GaN HEMT PA is measured for AM signals. From themeasured results, the accuracy of the GaN HEMT model was verified and the predicted AM‒PM hysteresis was observed. Consequently, it was confirmed that the proposed methodology based on the electrothermal co-simulation can be applied to various PA analyses related to transient thermal effects. In chapter 5, the conclusion and issues to be addressed in the future are escribed. 近年,高速スイッチング電源や無線通信用送信機などの高周波デバイスとしてGaN(窒化ガリウム:Gallium Nitride)HEMT(高電子移動度トランジスタ:High Electron Mobility Transistor)が多用されている。GaN HEMTを用いた高周波パワーアンプでは,自己発熱のためにデバイスおよびパッケージ内での過渡的な温度変動が生じる。本論文では,温度変動が電気的特性に与える影響を明らかにするため,実際の信号形態に応じた熱と電気の連成シミュレーションによる解析手法を提案する。高速スイッチング電源においては,発熱が極めて短い時間に集中して発生する過渡熱応答に連成シミュレーションを適用し,動作周波数の上限や温度変動を求めて,高いスイッチング周波数の動作解析に有効であることを示した。無線通信用送信機においては,無線変調波のエンベロープに応じて発熱量が変化することによって発生する過渡熱応答が温度変化のヒステリシスを引き起こし,線形性能を劣化させることを示した。さらに実測により解析結果の検証を行った。各章の内容は以下の通りである。 第1章では,研究の背景を基にして熱電気連成シミュレーションの実現のための課題を設定し,本論文で述べる課題解決の方法について説明した。無線通信システムにおいては送信側の高周波パワーアンプの低歪化が必要とされる。そのため,GaN HEMTパワーアンプの実使用状態での動作をシミュレーションで明らかにすることを目的として,「MHzオーダーの高速動作における熱と電気の連成シミュレーション環境を構築すること」を課題とした。熱と電気を連成するシミュレーションの基本的な流れはこれまでの研究を踏まえ,等価熱抵抗と熱容量の並列多段接続で温度変動を再現し,その熱等価回路を回路シミュレータに組み込むことにより過渡熱応答を精密に反映した電気特性をシミュレータ上で解析する方法とした。本論文においては,様々な動作の高周波パワーアンプ全般に適用できる熱電気連成シミュレーション環境を構築するために,電気モデルの高周波特性精度を向上すること,高周波パワーアンプへ与える高周波信号や直流電圧の時間波形を実使用状態に合わせてシミュレータ回路を盛り込むこと,シミュレーションで得られたデータを数値処理して高周波特性に換算することを行った。 第2章では,高周波電源の高速スイッチング部に用いたスイッチモードRFパワーアンプに熱電気連成シミュレーションを適用した。高周波電源では,大電力動作により大きな自己発熱が生じ,スイッチング動作に応じて温度が変動する。スイッチング周波数が高くなると,自己発熱の要因として,オンとオフが切り替わる短い時間に発生するスイッチング損失の占める割合が増すため,高周波領域でのGaN HEMT動作を精度よく表現することが重要である。本章では最初に,熱電気連成シミュレーションで使用する熱モデルと電気モデルを説明した。GaN HEMTの電気モデルとしてAngelovモデルを採用し,パラメータの温度依存性と電圧依存性を設定することにより,様々な動作状態での精度向上を図った。その後,GaN HEMTを直列接続したハーフブリッジ電圧型のスイッチモードRFパワーアンプの熱電気連成シミュレーションを行い,パワーアンプが高い電力効率を示すスイッチング周波数として100MHzを得た。さらに,ハーフブリッジインバータ動作に対して解析を行った。出力電圧がMHzオーダーで変化する場合においては,理論解析では温度変動を十分に表現できず,本手法が有効であることが確認された。 第3章では,無線通信用RFパワーアンプに熱電気連成シミュレーションを適用した。電力効率を向上することが可能なエンベロープトラッキング技術では,入力電力のエンベロープに比例した直流印加電圧の変化に温度が追随することが知られている。まず,温度変化を理論計算で算出し,エンベロープの変化に応じて高周波パワーアンプの利得変動と位相変動が発生すること,またその変動にはエンベロープの上昇時と下降時でヒステリシスが発生することを予想した。その後に実施した熱電気連成シミュレーションにおいては,シミュレーション結果から利得と位相を算出し,過渡熱応答に起因するヒステリシス現象の詳細な解析に成功した。 第4章では,GaN HEMTを用いた高周波パワーアンプへの入力電力を振幅変調して高周波特性を測定した。実測結果に含まれる誤差要因を分析して必要なデータを抽出した。実測とシミュレーション結果から,第2章で定めた電気モデルの精度を検証し,第3章で予測した過渡熱応答による位相変化のヒステリシス現象を確認した。これにより,本論文で構築した熱電気連成シミュレーション手法がMHzオーダーの高速動作を解析できることを実験的に示した。 第5章では,各章の結果をまとめ,今後の課題として本手法の応用展開について述べた。2017
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