並列タイトル等キンセイ キンダイ ニ オケル ショウギョウシホン ハッタツシ ノ ケンキュウ オウミショウニン ヤマナカヘイエモン ノ ケイザイシ テキ ケンキュウ
HISTORICAL STUDY OF ECONOMIC DEVELOPMENT OF COMMERCIAL CAPITAL DURING EDO AND MODERN TIMES IN JAPAN : A CASE OF OHMI MERCHANT OF YAMANAKA HYOEMON FAMILY
タイトル（掲載誌）平成15年度-平成17年度科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書
一般注記type:Research Paper
本報告書は、平成十五年度から平成十七年度の三ヵ年にわたり、文部科学省・日本学術振興会研究補助金の交付を受けて実施された、基盤研究(B)(2)「近世・近代における商業資本発達史の研究-近江商人・山中兵右衛門家の経済史的研究-」の研究成果である。本研究の課題は、近世中期から昭和期に至る長期にわたり、近江滋賀県と関東御殿場・沼津・伊豆・小田原等という広範なエリアにまたがって、商業交易活動・醸造業(酒・醤油・味噌等)・金融業・地主経営等を多彩に展開した近江商人山中兵右衛門家の経済活動を、構造的かつ段階的に解明することである。近年、商業・流通史研究も長足の進歩を遂げ、吉田伸之・高村直助編『商人と流通-近世から近代へ-』(山川出版社、一九九二年)、中西聡・中村尚史編著『商品流通の近代史』(日本経済評論社、二〇〇四年)、石井寛治編著『近代日本流通史』(東京大学出版会、二〇〇五年)等に見られるように、商品ごとの複雑な流通機構や物流システム、物資集散地や市場圏の動態との関連で商品流通の展開過程が解明されてきている。またいわゆる近江商人研究でも末永園紀著『近代近江商人経営史論』(有斐問、一九九七年)上村雅洋著『近江商人の経営史』(清文堂、二〇〇〇年)等が現れて、格段と研究水準が上がり、多様な近江商人の経営実態や近代に至る経済活動等の解明が進められてきている。山中家については山中家九代当主山中喬樹氏が著された稿本『山中兵右衛門商店二百五十年史』(巻上・巻下、一九七六年)及び『山中兵右衛門商庖260年史』(一九八〇年)があるほか、末永圏紀氏によって前掲書の中で特に山中家の家政改革に焦点を当てた克明な分析が試みられている。(「幕末維新期山中兵右衛門家の支配人経営と家政改革」)。これら近年の研究動向に鑑みて、本研究には以下のような特徴がある。第一に、本研究が企図するような特定の商家を対象に近世から昭和期に至る長期にわたって、近江と関東に及ぶ近江商人の経営や東西交易の実態解明を果たした研究は極めて稀であること。第二に、近江日野の本家と静岡県御殿場にある本店、さらに御殿場・沼津・伊豆・小田原等にある支店がどのような経営システムによって運営されていたのかを、構造的かつ段階的に解明しようとする点でも、貴重な成果を期待しうる。第三に、こうした本家並びに、本・支店が繰り広げる商業活動、醸造業、株式投資、地主経営といった多角的経営の展開を周辺地域の社会・経済状態との関連で分析することによって、きわめて包括的な経済活動の長期的・広域的分析が果たされる点である。このような研究史上の課題を共有しつつ、本研究では、まず山中家の史料整理と目録作成、撮影といった基礎作業を果たしつつ、研究史の検討と史料整理並びにその分析作業が共同で進められていった。
identifier:平成15年度-平成17年度科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書, pp. 1-245
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