タイトル(掲載誌)Institute of Social and Economic Research Discussion Papers
一般注記We prove a generalized, multi-factor version of the Uzawa steady-state growth the?orem. The theorem implies that neoclassical growth models need at least three factors of production to be consistent with empirical evidence on both the capital-labor elastic?ity of substitution and the existence of capital-augmenting technical change. We also build and calibrate a three-factor endogenous growth model with directed technical change and show that it converges to a balanced growth path that is consistent with the empirical evidence. Our results indicate that natural resources including land and directed technical change play a central role in explaining balanced growth.
新古典派成長モデルにおいて、現実に観測される均斉成長経路を説明するには、宇沢の定理が要求する2つの仮定のいずれかが必要であることが知られている。一つ目は、技術革新が純粋に労働拡張的であるという仮定である。しかし、米国のデータにおいて、資本増強的な技術革新が均斉成長経路で存在していることが確認されている。二つ目は、生産関数がコブ・ダグラス型、つまり労働と資本の代替の弾力性が1に等しいという仮定である。しかし多くの実証研究によって、労働と資本の代替の弾力性が1という仮説は否定されている。これら二つの仮定は、いずれも現実に合致しないが、既存の新古典派成長モデルにおいては、均斉成長を説明するため、ほぼ例外なくいずれかの仮定を採用せざるを得なかった。それにより、技術進歩の研究や、要素間の所得配分の研究は大きく制約されてきた。本研究は、宇沢の定理を拡張し、非現実的な仮定を置くことなく、均斉成長を説明し得ることを示した。まず、生産要素を資本と労働の二つのみではなく、それ以外の生産要素も許すという拡張を行った。生産要素を拡張した宇沢の定理を用いると、真の生産関数の時間的変化が未知であっても、均斉成長経路が存在するという前提の下で、生産要素と総生産の関係の経時的変化、つまり技術進歩を表現する関数型を決めることができ、多くのマクロ経済分析に有用であることが示された。しかし、この表現では資本拡張的な技術革新を含むことができない。そこで、宇沢の定理をより一般化した。一般化された宇沢の定理は、再生可能資本と少なくとも一つの他の生産要素との間の代替の弾力性が1であれば、資本拡張的な技術革新を含むことができる。多くの生産要素を許す一般化された宇沢の定理では、各種の土地や自然 資源など多くの生産要素を含み得るので、その中から1つでも代替の弾力性の条件を満たす要素があるというのは緩い条件であり、資本拡張的な技術革新を含む現実的な均斉成長経路を新古典派成長モデルの枠内で説明できる可能性が高まった。上記の定理を用いて、3つの生産要素と複数の技術の進歩を含む内生的成長モデルを構築し、アメリカにおける資本拡張的技術進歩を含む均斉成長のデータに合致した結果を得た。この結果は、どのようなマクロ経済研究であっても、土地や自然資源など、資本・労働以外の生産要素を考えることが重要であることを示唆している。
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)