タイトル（掲載誌）Institute of Social and Economic Research Discussion Papers
一般注記This paper compares the results of an experiment conducted both in the laboratory and online with participants recruited from the same subject pool using the Trustlab platform. This platform has been used to obtain incentivized and internationally comparable behavioral economics measures of altruism, cooperation, reciprocity, trust, and trustworthiness, employing representative samples in many countries. We find no significant difference between the results from sessions conducted in the laboratory and online. While the existing literature shows that the choice between laboratory and online experiments can cause differences in results in some cases, our findings support the hy?pothesis that they do not cause differences in the behavioral economics measures when using the Trustlab platform.
COVID-19 の流行によって多くの活動（会社での会議や学校での講義など）がオンライン上で行われるようになり、我々の社会が大きく変化した。また、実験経済学の分野では、多くの研究者が経済実験を行う際、実験室ではなくオンライン上で実験を実施するようになった。 その一方で、オンライン実験では実験者が参加者の行動を制御できなくなったり、実験室での実験よりも参加者の注意が散漫になったりする可能性が懸念されている。また、オンライン実験は未だ新しく、実験室で実施された実験との比較を行なった既存研究がほとんど存在しない。 本研究では、同一の被験者集団を用いて、実験室とオンラインで実験を実施し、それぞれの結果を比較した。具体的には、OECD で実施されているTrustlab プロジェクト(Murtin et al., 2018 を参照)の日本版プラットフォームを用いた実験を行った。Trustlab プロジェクトではアンケート調査に加え、信頼ゲーム、公共財ゲーム、独裁者ゲーム、危険くじの選択の 4 つのタスクを含んでいる。これらのタスクでは、被験者の回答に対して金銭的な報酬（インセンティブ）が与えられており、回答の結果から行動経済学で広く用いられる指標（回答者の利他性、互恵性など）を測定することができる。 実験の結果、実験室とオンライン間での結果に有意差は認められなかった。既存の文献では、実験室での実験とオンラインでの実験のどちらを選択するかによって結果に違いが生じる可能性が示されている。しかし、本研究結果は Trustlab プラットフォームを使用した場合においては、行動経済学的な指標の測定に違いが生じないという仮説を支持している。
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース（IRDB）（機関リポジトリ）