並列タイトル等平成15年度~平成16年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))
一般注記type:Working Paper
現代の日本においては、動物性食品摂取量の急増に伴う肥満が誘因となって動脈硬化性疾患も増加している。これには赤血球膜・血管壁の硬化等によって生じる血液流動性の低下が寄与していると推察される。そこで、玄米・野菜・大豆(豆腐)を中心とした菜食を実践し、動物性食品をほとんど摂取しない中高年女性(菜食者)と一般的な食事の中高年女性(非菜食者)を対象とし、菜食が血液流動性に及ぼす影響を秤量法による食事調査と血液性状分析から検討した。菜食の実践によりエネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物の摂取量は有意に減少、除脂肪重量を除く体格・体組成・血圧も有意に減少した。また、豆類、種実類、緑黄色野菜類の摂取量増加に伴うビタミン、ミネラル類の増加がみられ、さらにそれらに含まれている機能性成分であるイソフラボンとケンフェロールの摂取量も菜食者で非菜食者より有意に高値であった。血液性状において、アルカリフォスファターゼ、アルブミンは菜食実践により有意に低下したが、全て基準値の範囲内であり、低栄養症状も認められなかった。血中葉酸濃度、ケルセチン濃度は菜食者で非菜食者より有意に高値を示した。MC-FANによる新鮮血の血流速度を指標とした血液流動性は非菜食者より菜食者で有意に高かった。血液流動性に及ぼす菜食の影響、体格・体組成・血液性状などの影響を明らかにするために、菜食者と非菜食者を合わせて、主成分分析を行い6つの成分を得た。この6成分について血液流動性を従属変数とした重回帰分析を行った結果、「血圧・ヘマトクリット値」、「血中タンパク質」が大きく血流速度に影響を与える成分として特定された。パス解析より、「高脂血症」、「肥満」、「動物性食品」,「菜食」は間接的に血流速度に影響を与えていた。このモデルにより血液流動性を説明する程度は38%であった。以上のことから、菜食は血液流動性を高めることが確認された。
一次資料へのリンクURLhttps://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/bdyview.do?bodyid=BD00017726&elmid=Body&fname=kaken15500538.pdf
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