一般注記[大平遺跡 要約]
遺跡は、JR木古内駅から南西へ約1.8km、木古内川から建有川に挟まれた平坦な低位海岸段丘上に立地し、標高は、15から20mである。遺跡の調査は、平成21年度に続いて、平成22・23年度に行われ、今回の報告が2冊目の報告書となる。本書では遺構編として竪穴住居跡45軒、土坑50基、フラスコ状土坑63基、Tピット2基柱穴状小ピット36基の報告を行っている。竪穴住居跡は、擦文文化期6軒、縄文後期前葉1軒、中期初頭1軒、前期後半37軒である。擦文文化期は8世紀中葉5軒、9世紀中葉1軒である。5軒でカマドが検出されている。縄文後期前葉のものは石囲い炉が検出されている。前期後半は、円筒土器下層式d2式期が22軒と多い。特徴としては、ベンチ構造があるもの13軒、葺土構造が確認できるもの7件、覆土中に多量の遺物が出土するもの10軒などがみられる。土坑は、異形石槍が出土したものが1基検出されている。フラスコ状ピットは前期後半から中期初頭である。調査範囲北東側に集中して検出されている。底面径が1から2m程の小型のものと、2.5から3m程の大型のものがある。坑底に小ピットを伴うものが33基確認されている。Tピットは溝状のものが2基検出されている。報告遺構から出土した遺物は、土器210,831点、石器等が153805点、合計364,636点ある。土器は2群B類土器が大半を占め、2群B3類土器が特に多い。石器等は、スクレイパー、たたき石、すり石が多く出土している。土製品であh、有孔土製円盤、焼成粘土塊が出土している。石製品では、異形石器、異形石槍、垂飾、滑石製けつ状耳飾り、線刻礫、軽石製石製品(北海道式石棺状、すり石状など)が出土している。
DOI10.24484/sitereports.28023
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