並列タイトル等なかじょういせきはっくつちょうさほうこくしょに へいせいじゅうねんどちょうさ
一般注記中条遺跡は市域を西流する猿渡川右岸の台地上に立地する。平成10年度調査区は遺跡の南東部にあたる区域約4,500㎡で、発掘調査によって古代から中世の遺構・遺物が多数検出された。
古代では、古墳時代後期から奈良時代の竪穴建物や掘立柱建物跡が多数検出された。須恵器や土師器とともに製塩土器が多量に出土したほか、この地域では類例の少ない銅製の錘(権)が出土した。遺構に官衙的様相はみられないが、律令期の官人に関係する帯金具(鉸具)や円面硯、刀子等が出土しており、当時の集落経営にたずさわっていたことが伺われる。
中世では、屋敷地を区画する大小の溝や土坑が検出され、中世前期の山茶碗類や常滑甕、中世土師器が多く出土した。中でも前年度調査区から続く最大幅約5m、最大深約2mの大溝は調査区中央で台地端部に向かって90度向きを変え、他の溝もそれにあわせて区画を形成していた。これら大規模工事の痕跡は、当時の遺跡周辺が重原荘の中心地域であったことの傍証となるものである。中世後期においても、埋め戻された大溝に重複・並行する複数の溝によって新たな方形区画や帯状の空間が形成され、古瀬戸の陶器や中国製磁器等が出土していることから、引き続き有力者の居館であったと推測される。
DOI10.24484/sitereports.42686
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