並列タイトル等Experimental study of the relationship between clothing and heat stress during exercise under radiant heat condition
一般注記type:Thesis
近年,地球の温暖化を背景として運動現場や日常生活での熱中症の発生が危惧されている. 本論文は暑熱障害のリスクが高まる湿球黒球温度(Wet Bulb Globe Temperature,WBGT)28℃以上の高温・輻射環境をナイター用照明や扇風機により再現して運動時における着衣条件と温熱ストレスに関する実験的研究を実施し,スポーツウェアの着用や四肢部を衣服で覆うことによる温熱ストレスの軽減効果について定量的に解析した. その結果,WBGT28℃以上の輻射・有風下において長袖・半ズボンの白色スポーツウェア着用は水泳パンツのみの半裸体条件に比べて安静時の貯熱量を軽減出来ること,また軽運動時ではスポーツウェア着用条件の温熱ストレスは半裸体条件と同じであるが,中程度運動ではスポーツウェア着用が半裸体よりも生理的・心理的な温熱ストレスを高めることが示された.さらに,WBGT28℃以上の輻射・無風環境下における中程度運動時の温熱ストレスは四肢部露出の有無による顕著な差異は認められないが,軽運動時には四肢部を衣服で覆うことにより皮膚温や心拍数の上昇を抑制し,温熱ストレスを軽減できることが示された.したがって,WBGT28℃以上の輻射環境下において,安静時や軽運動時では全身を覆うスポーツユニフォームの着用は半裸体及び半袖・半ズボンよりも温熱ストレスを軽減できることが示唆された.
紫外線から皮膚を保護するためにも, 夏季の暑い日に屋外で軽い運動を実施する場合,全身を覆うスポーツユニフォームを着用することが望ましいと考えられる.本研究の結果はスポーツ活動時における熱中症予防のための着衣に関する予防指針を作成する上で有用な資料となりうる.
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)