並列タイトル等Comparison of Burden on Youth in Communicating with Elderly Using Images versus Photographs
一般注記type:Thesis
近年,日本は65 歳人口が「団塊の世代」が65 歳に到達し3,000万人を超え,総人口の4分の1を占める超高齢社会を迎え, 人口における高齢者の割合は増すばかりである.さらに,平均寿命が延伸していることもあり,65歳以上を過ぎても元気である高齢者も少なくない.しかし,65歳を過ぎ,仕事を退職するなど,生活・活動の拠点を仕事中心の社会から居住地域に移すこととなり,その中でも,就労や社会参加活動を通じて現役として活躍している高齢者もいるが一方で,社会活動を行いたいと考えてはいるが,なかなか社会との繋がりを持てずにいる高齢者もいる.また, 同時に進行した核家族化によって子ども世帯と同居しない夫婦のみか,または,独居の高齢者の割合も増加している.そこで,高齢者の自立と社会活動への参加を実現するためには,周囲の人間が高齢者を進んでサポートすることが必要であると考えられる,サポートをするためには,今まで,接することの少なかった高齢者の行動,生活習慣を理解することが重要である.理解をするための手段の一つとして,高齢者とコミュニケーションをとっていくことが大変重要であると考えられている. 高齢者と会話を行なうことが重要であると考えられている要因としては,高齢者の認知機能の維持に有効であると考えられているからである.しかし,上記でも述べたように,核家族化が進み,祖父母と同居の経験のある若年者は減っている.そのため,どのように高齢者と接したらいいのか戸惑う若年者が増えている.同様に,高齢者とどのような会話をすればいいか,会話をうまく継続することが出来ない若年者もいる.そこで,会話の方法として,高齢者一人一人の経験や思いを尊重出来,かつ高齢者の特性を生かした回想法が着目されている.回想法とは自らの経験や昔懐かしい道具を用い,体験した事を語り合ったり,誰かに話したりすることで,脳を活性化させる方法で,アメリカのバトラーが提唱した心理療法であるが,今日,高齢者とのコミュニケーションの方法として広く用いられている.また,昔のことなどを記憶している長期記憶は高齢になっても比較的保持している記憶である.そのため,昔語りをする回想法を用いたコミュニケーション方法は若年者及び高齢者(認知症者を含む)のコミュニケーションの方法としては適していると考える.しかし,その一方で,長期記憶のなかにある思い出を覚えていず、日常の行動(食事,排泄など)である短期記憶は覚えているという高齢者(認知症者を含む)もいる.その際,高齢者との会話において,その高齢者の思い出などから会話をつなげて行こうとすれば,思い出せない情報を話すことから苦痛になる可能性があり,会話を継続したくないという高齢者もいる.そのようなことから若年者にとって今までのように高齢者一人ひとりの思い出を会話支援システムで使用することは,長期記憶に障害を持つ高齢者との対話支援では会話への負担が大きいことがわかった.このような状況において,高齢者(認知症含む)と若年者(家族やボランティアを含む)が会話をスムーズにすることができるような支援を充実させることが重要な課題である.また,傾聴に不慣れな若年者(家族やボランティアを含む)にとって,高齢者との会話に負担を感じる,あるいは会話をうまく継続することができないということも多いことから,若年者(家族やボランティアを含む)が高齢者(認知症含む)との会話に関する負担を軽減するため,回想法における会話支援に着目して,写真画像や映像を共有させて話題を提供することで高齢者(認知症含む)どうしのまたは高齢者(認知症含む)と若年者(家族やボランティアを含む)との会話を促進する方法を検討し,実施した.本論文では,スムーズな会話が出来るような,会話支援システムの構築を最終目標としている. そこで,システムを構築するに当たって,写真画像や動画といったシステムに導入するメディアについて研究を行い,また,システムの提案をした.若年者(介護者・家族・ボランティア)が,高齢者(認知症含む)との会話支援をする際,会話中のストレスを極力感じることなく,または,高齢者側にも飽きの来ないような,最適なコンテンツを提供するために,最適なコンテンツ,テーマごとのカテゴリ,メディアの最適性を検証した.また,そのメディアを使用したシステムの提案を行った.
一次資料へのリンクURLhttp://repository.lib.kit.ac.jp/repo/repository/10212/2321/D1-0795.pdf (fulltext)
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