並列タイトル等バイオブリケット ニヨル ダツリュウ ダッショウ ギジュツ ト ソノ ハンノウ キコウ
Baioburiketto niyoru datsuryu dassho gijutsu to sono hanno kiko
タイトル(掲載誌)KEO discussion paper. G : 『アジア地域における経済および環境の相互依存と環境保全に関する学際的研究』
一般注記type:text
1 緒言近年、発展途上国の経済発展によるエネルギー需要の急激な増加や地球規模的な環境問題への関心などを背景に、化石エネルギーの新たなる環境調和型利用技術の研究・技術開発が急務になっている。特に発展途上国においては、1次エネルギー源として高灰分、高硫黄分の劣質炭に依存している国々が多い。また、この劣質炭は、産業用エネルギー源のほか、炊事、暖房などの民生用燃料としても大量に利用されている(1)。このため、排出されるSOxによる酸性雨の他、喘息などの気管支障害の誘発など家庭での呼吸器疾患が問題になっている(2)。1990年の全世界におけるSOx排出量は、約6,700万トンにのぼり、アジア諸国がその3割を占めている。この多くは石炭燃焼によるものとされ、そのうち3割が火力発電所、残りは諸産業ならびに民生での石炭利用によるものである(3)。このような現状より、脱硫装置の設置が資金的に困難な中小規模ボイラや民生の燃焼器で利用するために石炭を環境調和型の固体燃料に改質する試みが北海道立工業試験場の研究グループと豊橋技術科学大学の我々を中心として行われてきた(1 ,4-10-15)。この改質固体燃料はバイオブリケットと呼ばれ、石炭にバイオマスを20~30%添加混合して圧縮成型した固形燃料である。このバイオブリケットの特徴を要約すると、長所としては、1)バイオマスを添加することにより総括的な燃焼性を向上させることができ、劣質炭の有効利用が可能となる。2)バイオマスは石炭とは異なり、現代の二酸化炭素自然循環サイクルによる燃料であり、化石燃料のように古代の炭素を二酸化炭素の形で放出するものではないため、大気中の二酸化炭素濃度の上昇を緩和及び化石燃料の使用量が削減できる。3)バイオブリケット成型時において、バイオマス自体がバインダーの役割を果たすため成型が容易となる。4)バイオブリケットの製造段階で脱硫・脱硝剤を添加混合することにより、自己脱硫・脱硝機能を付加することができる。5)燃焼炉の改良が不必要である。6)脱硫コストが安価である。7)灰の有効利用が可能である。短所としては、1)バインダー(糖蜜、澱粉等)を必要とする場合がある。2)圧縮成型のコストが高価である。などが挙げられる。このような特徴を有するバイオブリケットの成型特性、燃焼特性、環境汚染物質生成・消滅特性を明らかにすることで、発展途上国における劣質炭の有効利用、化石燃料の使用量削減、地球規模的な環境問題の緩和等を支援することは重要である。そこで、本研究では、劣質炭にバイオマスおよび脱硫・脱硝剤を添加して高圧成型した全く新しい環境調和型固体燃料である自己脱硫・脱硝機能付バイオブリケットの開発を行う目的で、その燃焼及び脱硫・脱硝特性の評価と脱硫・脱硝機構を明らかにした。脱硫及び脱硝剤としては一方従来広く使用されている石灰石と、水産廃棄物である貝殻及び産業廃棄物であるパルプ黒液をそれぞれ添加した。実験では、特にパルプ黒液のバインダー機能、脱硫・脱硝機構に着目し、バイオブリケットの成型性、燃焼特性、自己脱硫機能、自己脱硝機能について、成型圧力、燃焼温度、炭種、バイオマス種、脱硫剤種、脱硫剤の添加率、パルプ黒液の添加率などの各種パラメータを変化させて実験的に明らかにした。結果として、パルプ黒液及び貝殻を添加したバイオブリケットは優れた自己脱硫・脱硝能力を有していることを示した。
表紙上部に"日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業複合領域「アジア地域の環境保全」"の表示あり
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)