並列タイトル等タイキ オセン ブッシツ ノ スイケイ : EDEN 1990 オ タイショウ ニ
Taiki osen busshitsu no suikei : EDEN 1990 o taisho ni
タイトル(掲載誌)KEO discussion paper. G : 『アジア地域における経済および環境の相互依存と環境保全に関する学際的研究』
一般注記type:text
本稿では,1990年について推計されたEDENの結果を用いていくつかの係数値を計算し,各国におけるCO2,SO2の発生量やエネルギーの消費量に関するファクトファイングを報告する。[Tablel EDEN Data 1990]まずTable 1では,対象国別に,EDENで燃料種別に推計したエネルギー消費量に基づいて,それらを熱量換算した値,およびそれらに起因して発生するCO2,SO2の推計量の総額をまとめてある。また,総額を各国の人口で割って1人あたりにならした数値も示してある(1人あたりの値のうち, かっこ内は家計が消費したエネルギーのみをとりあげている)。すると総量では中国と日本の占める割合が大きく,とりわけ中国のSO2発生量が突出している。また1人あたりについてみると,日本,シンガポール,台湾,韓国など,先進経済国における値が大きくなっている。EDENの推計結果をより詳しく観察するために洛国ごとに以下の計数値を算出した。1.各部門の生産額1US$あたりCO2,SO2発生量および熱消費量(Tablet~4)2.各部門の消費熱量1Tca1あたりCO2,SO2発生量(Table5~6)3.各財の最終消費 US$あたりによって誘発されるCO2,SO2,発生量または熱消費量(Table 7~9)各財の最終消費1単位あたりによって誘発されるCO2, SO2発生量または熱消費量E[記号]ベクトルの計算式(国を示すサフィックスは省略してある)は次の通りである。[計算式]これらの計算を,上記の8ヶ国について行った。ここで[記号]は各財の生産過程で発生するCO2,SO2の量,または消費される熱量を生産額(US$表示)単位あたりの大きさで示した係数ベクトル,[記号]は各財を消費する過程における同様の係数ベクトルである。簡単にいうと,これらの式の右辺第1項は各財を生産する過程で直接間接に発生するCO2,SO2と消費される熱量の大きさを示し,第2項はエネルギー財を使う(燃焼させる)過程における量を示す。結果を簡単に見てみると,同じ1$を生産するため1こ発生するCO2,SO2の量,および消費される熱量(Table2~4)はいずれも中国が最も大きく日本が最も小さい傾向である。とりわけ国間のばらつきはSO2の量について顕著である。消費熱量のTotalで国間格差をみると,日本が1$の生産あたり0.496Tcalのエネルギーを消費するのに対し,中国は6.092Tcalと12倍も消費していることになる。しかし,過去の研究によれば日本と中国の購買力平価は実際の為替レートの4倍程度とされているので,生産量実物単位あたりのエネルギー消費の格差はより小さくなる可能性がある。次に,消費熱量1TcalあたりのCO2,SO2発生量は(Table5,6),SO2の場合より国間の格差が大きいが,これはエネルギーミックスの相違によるものと思われる。同様のことは一つの国の産業間格差についても言える。SO2の場合,鉄鋼産業や火力発電などエネルギー多消費産業における消費熱量あたり発生量がいずれの国でも意外に小さく,その一方で軽工業や食品産業で発生量が多い。最後にTable7~9は,ある財を1US$消費したとき直接間接に発生するCO2,SO2や消費される熱量が,どの国で消費がされたかに依存して大きく違うことを示している。たとえば肉製品(14部門)を1US$消費した場合に直接間接に消費されたエネルギーの熱量は,日本で1.59Tcal,韓国で2.16Tcal,中国で7.09Tcal,タイでは4.69Tcalといった具合である。しかし同じ1US$でも実際に買うことのできる肉の量は国間で大きく異なると予想される。従って表に見られる数値の差を,各国の生産技術の格差に起因する部分と価格差による部分とに分離していくことが今後の研究課題としてあげられる。また,いずれの計算結果を見てもSO2発生量の場合に国間の格差が特に大きくなっている。現在SO2については脱硫アクティビティを普及させることがアジア地域で重要視されており,今後はこの問題を推計に盛り込んでいくことが必要であろう。
表紙上部に"日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業複合領域「アジア地域の環境保全」"の表示あり
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