並列タイトル等CDM ガイドブック 2 : ボン ゴウイ カラ マラケシュ カイギ マデノ ドウコウ ト シンテン
CDM gaidobukku 2 : Bon goi kara Marakeshu kaigi madeno doko to shinten
タイトル(掲載誌)KEO discussion paper. G : 『アジア地域における経済および環境の相互依存と環境保全に関する学際的研究』
一般注記type:text
1.はじめにCDM(クリーン開発メカニズム)とは、1997年COP3(3rd Conference Of the Parties; 第3回締約国会議、いわゆる京都会議)において、各国の温暖化ガス排出削減の数値目標を達成するための柔軟性措置(「柔軟性メカニズム」或は「京都メカニズム」とも呼ぶ)として採択された制度である。この制度のもとで、先進国は自国の資金・技術を利用して開発途上国における温室効果ガスの排出削減などにつながる事業を実施し、その結果として生じる削減量の全部または一部を自国の排出枠として獲得することが出来る。共同実施、排出権取引といった他の柔軟性措置とは異なり、途上国を取り入れた制度としてその意義は大きい。CDMを活用することで、先進国にとっては排出削減費用を大幅に低減させられる可能性があり、途上国では温暖化対策に必要な資金移転、技術移転が促進されるという利点が考えられる。しかし、議論が進むにつれ両者の思惑の違いがあらわになり交渉は難航した。結局、時間の制約により行き着いた最終文では、CDMの制度の概念やその包括的な枠組みに関しては書かれているものの、具体的な議論はすべてその後に託すものとなった。1998年ブエノスアイレスでのCOP4において、COP6までに京都議定書の具体的実施方法について合意することを目指し作業を進めることが決まり、COP6は各種条約や議定書を実施する上で不可欠な詳細ルールを決定する重要な会議として位置付けられた。COP6(6th Conference Of the Parties;第6回締約国会議)は2000年11月13日から25日までオランダのハーグで行われ、京都議定書の早期発効に向け、締約国のうち55力国以上が京都議定書を批准するよう議定書の詳細について合意を得ることが目的であった。またCOP6ではこれまで行われてきた準備会合の結果を踏まえ、閣僚級の会合において未解決の問題に政治的解決が与えられることを予定していた。COP6ハーグ会議におけるCDMをめぐる論議では、「CDM理事会」、「プロジェクトの適格性」、「地域的偏在性の問題」が取上げられた。「CDM理事会」に関しては理事会の構成が国連地域割りをベース(各3名)に小島嶼国1名で合計16名にすることが論議された。議決はコンセンサスをベースにするが、どうしても難しい場合には3/4多数決とすることなどが論議された。「プロジェクトの適格性」に関しては、基本的にはホスト国の判断を尊重するが、原子力に関しては事実上不適格とすることを提案している。植林プロジェクトに関しては、ホスト国の判断で植林活動の「新規植林」と「再植林」は認めるが、「森林管理」は不適格とするという論議があった。しかし、適格性の議論で非常に重要とされる「民間の商業的プロジェクトにおける投資の追加性」に関する記述はなかった。「地域的偏在性問題」に関しては、「小規模プロジェクト」や「再生可能エネルギープロジェクト」に関する標準化されたベースラインの設定方法と、特定のプロジェクトタイプの特恵待遇を提案している。また途土国に関しても、能力向土、適応措置基金拠出の免除、現状のODAに追加的な公的資金の導入によって、途上国の参加を促進させようとしている。しかし、結局のところハーグ会議の期限内では、具体的な運用ルールについて各国の利害が対立し合意を得られず、2001年7月ボンでCOP6再開会合が開かれることとなった。とはいえ、議論の途中において各国の立場や考え方の背景がより一層明確化され、相互認識が深まったという点では今後の交渉の進展に貢献するものではあった。その後、2001年6月にCOP6をボンで再開することになり、その動向が注目された。慶應義塾大学未来開拓プロジェクトCDM研究会は、このハーグ会議の数ヶ月前に慶應義塾大学商学部和気教授を中心に発足した。会議の動向を見ながら勉強会を重ね、その成果を2001年3月に「CDMガイドブック」としてまとめた。そこでは、 CDMが提案されるまでの経緯、基本的な仕組み、論点の解説、ハーグ会議での動向、将来CDMプロジェクトになり得るいくつかの事例の紹介などを行った。さらに、CDMに関して今後ホスト国として投資が予想される韓国と中国を意識して、韓国語、中国語などに翻訳・配布し、各方面から好評を得ることができた。その後、2001年7月のボンでのCOP6再開会合、10月29日~11月10日のマラケシュでのCOP7を通じて、京都議定書の具体的運用ルールが採択されたことを受け、今回これらの動向を「CDMガイドブック2」としてまとめることとなった。さらに今回においては、EUの動きとしてイギリスの動向として国内制度、特に政府と産業界との再生可能エネルギー分野での協定内容とオランダがパナマと初めてCDM協定を締結したことを事例として扱った。
表紙上部に"日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業複合領域「アジア地域の環境保全」"の表示あり
一次資料へのリンクURLhttps://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?koara_id=AA12113622-00000135-0001
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)