並列タイトル等キンロウシャ カケイ ニオケル セタイ ブンプ オヨビ ショウヒ ブンプ ノ ヘンカ : ジケイレツ ブンプ シリョウ ノ スイケイ
Kinrosha kakei niokeru setai bunpu oyobi shohi bunpu no henka : jikeiretsu bunpu shiryo no seikei
タイトル(掲載誌)Keio Economic Observatory occasional paper. J
一般注記type:text
本稿の目的は日本の経済成長にともなう家計部門の構造変化を世帯数分布と消費水準格差の変化という視点から分析することにある.そのために4つの人口学的要素(世帯人員数,世帯主年齢,居住地域,都市区分)に関してクロス集計された世帯数分布と消費分布の資料を時系列的に推計した.このとき消費は既存の支出ベースではなく,さらに家計が保有している実物資産(住宅,耐久消費財)から受ける便益を加えた概念で捉えるところに本分析の特徴がある.この資料を用いて分析を行った結果,(1)戦後の勤労者家計の世帯分布構造は小規模家族化・高年齢化・関東周辺部への集中等一般に言われている現象ばかりでなく,高齢者小規模世帯の増加や地域間世帯分布の跛行性など各要因が相互に関連しあった複雑な変化を示していること,(2)消費水準格差は異なった世帯人員規模間・世帯主年齢間で存在するばかりでなく,地域間格差の存在は近年一層明瞭なものとなってきていること,(3)消費支出概念の違いによって消費水準はその大きさはもちろん世帯属性間の格差パターンも異なってくること,(4)タイル尺度で捉えられた消費の不均等度は1960年代の高度成長期に大きく低下しKuznetsの示した「逆U字仮説」の均等化局面が消費についても観察されるが,それは世帯人員格差・地域間格差・都市間格差の縮小によるところが大きいこと,(5)その反面で1985年以降の不均等度の進行はKuznetsによって示されていない新しい傾向であるが,その要因が地域間格差の拡大によるところが大きいこと,(5)しかしながら消費の不均等をもたらす最大の要因が日本の賃金構造を反映した年齢間格差であることは時点間を通じて変わりがないこと,が明らかになった.
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