並列タイトル等カンゴ ロウドウ ノ キョウキュウ パターン : シカク シュトクシャ ノ キョウキュウ コウドウ ト キコン ジョシ ロウドウ トノ ヒカク
Kango rodo no kyokyu patan : shikaku shutokusha no kyokyu kodo to kikon joshi rodo tono hikaku
タイトル(掲載誌)Keio Economic Observatory occasional paper. J
一般注記type:text
資格取得者の労働供給行動は,これまでに多くの研究蓄積があるとはいいがたい.本稿の目的は,一般の既婚の女子労働供給行動と比較して,看護資格取得者(女性に限るわけではないが)の労働供給パターンの特徴を分析し,看護労働市場が十分な調整機能を実現するための条件をさぐることを目的としている.その際に,過去に行なった日本の女子労働供給行動との比較(主に文献[1])を通じて,労働時間の選択に関する可能性について分析を加えることにする.看護労働の大半が女子によって担われており,比較の対象としては一般の女子労働供給と行なうのが現状では妥当であろうと考えている.分析の手法としては,第一に就業選択の行動をprobit分析し,第二にパートとフルタイムの選択行動についてもsequential probit分析の手法で検討したい.第三に労働時間選択の可能性について,Heckman[1979]のTwo stage estimatorによって検討を加えることにする.ただし,このモデルは労働供給に固定費用がかかる場合と識別不可能になっている.たとえば,Cogan[1981]では労働供給するためには供給側に固定的な費用がかかることを想定した,労働供給関数を推定している.Coganは,推定には最尤法を用いているため固定費のない労働供給モデルとの差が生まれるが,Zabel[1993]が示しているように,就業サンプルだけを用いた場合には,Heckman[1993]の最小2乗推定量と識別できなくなる.さらに労働時間の選択が賃金率の選択と独立には決められない場合は,Moffitt[1984]やZabel[1993]がおこなったように,非線形の予算制約式を前提にした労働供給モデルを組み立てる必要がある.ここでは,このような一般化は今後の課題として扱うことにする.しかし,賃金と労働時間の選択が同時的におこなわれるとしても,Moffittのおこなったように非線形の予算制約式に直面する労働供給主体を考えるのか,それともここで扱っているように賃金・労働時間のセットの条件提示を受け入れるか否かという二者択一モデルを考えるのかについては,依然として議論は残る.以下では,分析の前に労働供給分析を行なうにあたっての特徴と問題点について検討したい.そのために一般女子の雇用労働の特徴と看護労働とのマクロデータによる比較によって事実を確認することからはじめることにする.
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