並列タイトル等セツゾク カンキョウ ブンセキヨウ サンギョウ レンカンヒョウ ニヨル カンキョウ カケイボ ブンセキ : ジゾク カノウナ ショウヒ ノ シテンカラ
Setsuzoku kankyo bunsekiyo sangyo renkanhyo niyoru kankyo kakeibo bunseki : jizoku kanona shohi no shitenkara
一般注記type:text
一般的な環境意識の高まりとはうらはらに家計がもたらす環境負荷が増加し続けていることは,最近かなり問題視されるようになってきている.この状況に対し,UNEP(国連環境プログラム)は持続可能な消費(sustainable consumption)という考え方を提案している.これは,すでに定着している持続可能な生産(sustainable production)という考え方と対になる新しい概念であるが,企業(または生産者)サイドの活発な環境改善努力に比者べ,消費サイドの対策が後手に回っていることは否めない.こうした家計がもたらす環境負荷が増加し続けている状況は,1980年代以降エネルギー経済学者たちのあいだでなされてきたrebound effectの問題とも関連する. rebound effectとは,エネルギー効率改善目的の技術進歩にもかかわらず,エネルギー消費量は減少するどころかかえって増加しているという問題であるが,これまでの研究では研究対象が特定の財・サービスに限定されている.本研究の目的の1つは,「接続環境分析用産業連関表」をもちいた産業連関的環境家計簿(10-EHA)分析によって,国民1人がいろいろな消費財を消費することで直接間接にどれだけの環境負荷をもたらしているかということを観察し,つぎに各消費財を単位金額(1万円)分消費することが直接間接にどのような環境影響をもたらすかということをCO2排出点数表としてまとめることである.また,もう1つの目的は,消費者のライフスタイルの変化による環境影響の変化の要因分解を行い,rebound effectの問題に対して詳細かつ包括的な検討を行うことである.研究の結果,時系列で比較可能なCO2排出点数表が整備された.これによって,消費がもたらす環境負荷に関する情報を一般の消費者にわかりやすい形で提供することが可能となる.また,光熱関係の機器の効率改善がめざましいにも関わらず,その効率改善はエネルギー消費削減をもたらしたのではなく,改善した良い機器を人々がもっと使うようになる,というrebound effectを確認することができた.
DOI10.14991/004.00000095-0001
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