並列タイトル等ヨーロッパ カブトエビ ニ オケル ハッセイ ジキ トクイテキ ナ small RNA ノ カイセキ
Yoroppa kabutoebi ni okeru hassei jiki tokuiteki na small RNA no kaiseki
一般注記type:text
真核生物におけるsmall RNAは遺伝子発現調節を行う分子であり, 様々な生命現象に関与していることからその重要性が認知されている. 20塩基前後からなるmicro RNA(miRNA)は形態や組織の形成, 30塩基前後からなるpiwiーinteracting RNA(piRNA)は生殖細胞の発達に必要な分子であることを始めとして, small RNAが発生に密接に関わっている様々な事例が報告されている. しかし, 先行研究ではモデル生物や特定の種類のsmall RNAに焦点をあてたものが多く情報に偏りがあり, 生体内には未だ同定されていないsmall RNAが存在する可能性がある. そこで, 本研究では幼生期に短期間で劇的に形態が変化するヨーロッパカブトエビを対象とし, 発生時期特異的に発現するsmall RNAを同定することでsmall RNAと発生の関わりについての新規知見を得ることを目的として研究を進めている. まず, 次世代シーケンサーによってカブトエビの各発生段階(卵, 幼生1-4令, 成体)における12-45塩基の配列情報を約4, 700万本取得し, piRNAが含まれる分画である25-45塩基長のsmall RNAについての解析を行った. 情報学的手法による他種で同定されたncRNAとの配列比較解析の結果, 他種のncRNAと85%以上の配列類似性を持っカブトエビsmall RNAは2, 200本存在した. そのうちtransfer RNA(tRNA)の一部に対して配列類似性を持つもの575本の中には, 発生過程の1ステージ特異的に発現量(次世代シーケンサーによって得られたリード数)が高いものが8種存在しており, non-coding RNA(ncRNA)の断片様の配列が発生時期特異的に発現している可能性が見いだされた. また, 遺伝子銃によって昆虫細胞にGFP発現ベクターを導入することで, small RNAの機能解明に向けたカブトエビへの遺伝子導入系の基盤を整えた. 今後カブトエビを対象とした遺伝子導入系が確立しsmall RNA候補の機能を考察することが可能となれば, small RNAと発生との関連性についての議論を深めることができると期待される.
先端生命科学プロジェクト 冨田勝研究会2011年度秋学期
identifier:SFC-SWP2011-A-002
identifier:請求記号: 090@KE1@584
一次資料へのリンクURLhttps://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?koara_id=0302-0000-0654
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)