並列タイトル等miRNA ノ モウラテキ ヨソク ト ソンザイ パターン カラ タドル カンポ ドウブツモン ノ シンカ
miRNA no morateki yosoku to sonzai patan kara tadoru kanpo dobutsumon no shinka
Identification and phylogenetic analysis of miRNAs in tardigrades
一般注記type:text
クマムシは脱皮動物上門に属し, 独自で緩歩動物門を形成する無脊椎動物である。クマムシの起源は約5億5,000万年前に遡り, カンブリア爆発以降の化石からその存在が確認されている。すべての生物の中で最も多様性に富む動物である節足動物も緩歩動物門と同様に脱皮動物上門の共通祖先であるエディアカラ生物群から節足動物化されていき今日に至る。この進化の軌跡を辿ることはすなわち動物の起源に迫ることであり, 地球上の生命進化および発生と進化の可塑性を理解する上で非常に重要な礎となることが期待される。しかしながらクマムシは, 同じ上門に属する他の門との進化関係についての議論が今日においても未だ終結していない。なぜならば緩歩動物門は, 形態学的分類では節足動物門と有爪動物門をあわせた汎節足動物に帰属することが示唆されている一方で, 分子生物学的分類では線形動物門との共通祖先から分岐したと示唆されているからである。我々はこの謎を解明すべくmiRNAの存在パターンに着目して系統解析を試みた。ドゥジャルダンヤマクマムシ(Hypsibius dujardini), ヨコヅナクマムシ(Ramazzottius varoeornatus), リヒテルスチョウメイムシ(Paramacrobiotus richtersi)の3種を対象とし, ドゥジャルダンヤマクマムシにおいてはIllumina HiSeq 2000を用いてmiRNA配列を独自にシーケンシングした。抽出された配列と現存する緩歩動物の配列情報を用いてmiRDeep2によりmiRNA候補を予測したところ, ドゥジャルダンヤマクマムシからは81種, ヨコヅナクマムシからは174種, そしてリヒテルスチョウメイムシからは85種のmiRNAが予測された。さらにこれらの情報と左右相称動物におけるmiRNAの存在パターン情報をもとに最大節約法を用いて系統樹を作成したところ, 緩歩動物は節足動物と線形動物と共に単系統群を形成するような進化系統を示した。これは脱皮動物上門における系統進化が非常に短時間で引き起こされたことに由来すると考えられ, 議論の元である形態学的分類と分子生物学的分類の間で矛盾を示すことへの一つの解釈となると期待される。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス先端生命科学研究会 2014年度学生論文集
卒業論文ダイジェスト
identifier:SFC-RM2014-003
identifier:請求記号:
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)