並列タイトル等ラクトフェリン セッシュ ニ ヨル アトピーセイ ヒフエン ヨクセイ コウカ ノ ブンシ キコウ ノ カイメイ
Rakutoferin sesshu ni yoru atopisei hifuen yokusei koka no bunshi kiko no kaimei
Elucidation of the suppression mechanisms of lactoferrin treatment against atopic dermatitis.
一般注記type:text
アトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis : AD)とは紅斑・丘疹・擦過傷等の症状がみられる慢性皮膚疾患である。ADの発症には免疫系の過剰反応や皮膚常在菌叢の構成など, 様々な要因が複合的に関与していると考えられており, 現時点ではその原因は特定されていない。近年では, 皮膚の状態だけでなく腸内環境も関連があるといった報告がなされており, 腸内細菌叢を介したADの予防・改善が期待される。腸内環境を整える手段として, 人体に有益な腸内細菌の増殖を促す食品や物質を摂取する"プレバイオティクス"が注目されている。プレバイオティクスの一種であるラクトフェリン(Lactoferrin, LF)は, これまでの研究から, 喘息や花粉症などのアレルギー症状を緩和させることが報告されている。また, 共同研究者の実験においても, ADモデルマウス(NC/Ngaマウス)にLFを投与した際に, LF非投与群と比較して皮膚炎の重症度が低下することが示された。そこで我々は, LFによる皮膚炎改善効果は腸内細菌叢が関与しているのではないかと推測し, これらのマウスから採取した糞便と小腸内容物について細菌叢解析と代謝物質解析を行った。16S rRNA遺伝子の網羅的解析による腸内細菌叢の構造解析の結果, 糞便中細菌叢には変化が見られなかったが, 小腸内容物の細菌叢では, LF投与群で細菌叢の多様性が増加し, 細菌叢構造もLF未投与群とは異なることが明らかになった。小腸内容物代謝物質解析の結果, カテコールアミン代謝経路に属する代謝物質の濃度がLFの投与によって増加することが示唆された。また, 細菌の割合と各代謝物質濃度の相関解析を行い, 細菌叢と代謝物質の関連について解析を行った。これらの結果から, LFは皮膚炎の重症度を低下させる効果があり, 小腸内で細菌叢の構造変化を引き起こすこと, 一部の代謝物質濃度を変化させることが明らかになった。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス先端生命科学研究会 2015年度学生論文集
卒業論文ダイジェスト
identifier:SFC-RM2015-002
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