並列タイトル等サイボウ シミュレーション ニ ヨル コウキンザイ ヘイヨウ コウカ ノ ヨソク
Saibo shimyureshon ni yoru kokinzai heiyo koka no yosoku
一般注記type:text
細菌によってもたらされる感染症は, 人類にとって長期にわたり脅威となっている。現在までに様々な抗菌剤が開発され, 細菌に対抗してきた。しかし, 細菌を死滅しうる抗菌剤を作成しても, 耐性をもった細菌が増殖し, また新たに抗菌剤を作成するといった, 人類が後手に回った抗菌剤の開発が行われている。複数の抗菌剤に対して耐性を得た細菌が生まれることで薬剤開発のペースが落ち込み, 打つ手がない状況に陥ってしまうことは想像に難くない。この問題を解決するためには, 抗菌剤を用いた際にどのような変化が細菌内に発生し, 耐性を獲得, あるいは死滅に向かうのかを理解し, 予測することが肝要である。そこで, 抗菌剤に対する細菌の応答をコンピュータシミュレーションによって再現し, 効果的な組み合わせ投与のっ提案, 効率的な新規薬剤標的分子の提案へと繋がるプラットフォームの構築を目指す。
本研究では, はじめに代謝に関連する薬剤の応答を再現できる環境の構築を行った。既存の全ゲノム規模の代謝流速解析モデルを拡張し, 薬剤シミュレーション環境を開発した。複数の標的分子を阻害した際の応答を予測できるように機能を拡張し, 複数の標的分子をもつ薬剤について, 評価できるようになった。続いて, データベースに登録されている全ての認可済み薬剤について, 標的っとしているタンパク質がコードされている遺伝子のリストを取得した。遺伝子リストのうち, 代謝経路が標的となっている薬剤について追加した機能を用いて解析を行い, 薬剤の応答が正しく再現される様, 代謝モデルの改変を行った。その結果, 代謝を標的とした薬剤の多くについて効果を再現することができた。最後に, 翻訳系が標的となっている薬剤について, 大腸菌のリボソームの薬剤応答を示した数式を用いてモデルを作成し, 代謝モデルと結合することによって, 認可済み薬剤の応答の多くを再現することができるようになった。代謝系と翻訳系を結合し, 評価できるモデルは未だ無く, データベースから網羅的に取得した薬剤データからの解析を容易に行うことを可能にした。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス先端生命科学研究会 2015年度学生論文集
卒業論文ダイジェスト
identifier:SFC-RM2015-002
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