並列タイトル等「ツナガリ」 ニ チャクモクシタ インセンティブ ト イノベーション ニ カンスル ジッショウ ケンキュウ
"Tsunagari" ni chakumokushita insentibu to inobēshon ni kansuru jisshō kenkyū
Innovation and incentives
一般注記type:text
本研究の目的は, インセンティブ制度の1つである成果主義がイノベーションに与える影響に関する知見を深めていくことである。イノベーションに長けた企業は成果主義を導入していたり, また, イノベーションに対してインセンティブを与えることで, イノベーションが生まれることは一般的な経済行動原則に即しているように思われる。しかしながら, これまで, 内発的動機理論, エージェンシー理論, 給与格差, 早期失敗に対する寛容性といった理論的見地から, 成果主義はイノベーションに対して破壊的な影響を持つと論証・実証されてきた。この論争に対して, 「つながり」に着目し新たな知見を提示していくことが本研究の目的である。
本研究では, 成果主義が導入されることにより, イノベーターは, 機会主義的なネットワーク構築を行うのではないか, という仮説を立てた。ここでいう機会主義的なネットワーク構築とは, 従来からの関係性や, しがらみ, に基づいてイノベーションのためのネットワークを構築するのではなく, イノベーション価値を高める相手との関係性を探索し, 新たに構築するというものである。例えば, 営業マンデータを使用した先行研究では, 彼・彼女らは, ネットワーキング活動のあとに, 自らが「汚れている」と感じている。これは, 他者を利用している, 自らにプラスに働くように他者との関係をあたためる, という罪悪感から来るという。しかし, この他人を利用することによって新しいイノベーションが可能となるはずである。そして, この他人を利用することは, 成果主義に基づいて自らの評価がされることによってそのプレッシャーが生まれるのではないか。
本研究では特許データベースを使用し検証を行っている。分析対象としては, 成果主義を導入したある日本企業に焦点を当て, 自然実験の研究デザインを用いて検証を行った。
The purpose of this research is to enhance our understanding of how incentives promote inventors' innovation. Previous research suggested negative association between them, but it has not considered the role of social interactions and knowledge exchange among inventors in processes in which they generate new ideas. This study proposes and tests a hypothesis that incentives increases the likelihood that inventors seek for valuable opportunities and partners whom they can instrumentally use for their innovation projects. This study adopts a natural experiment design in which I compare effects of new performance-based incentives in comparison to control groups.
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)