並列タイトル等キンユウ ブモン ノ シンカ ト ケイザイ ハッテン : タコク データ オ モチイタ ジッショウ ブンセキ
Kin'yū bumon no shinka to keizai hatten : takoku dēta o mochiita jisshō bunseki
一般注記type:text
金融の大きな機能は、直接的には社会における資金の再配分であるが、より根本的にはそれを通じて社会発展に伴うリスクを適切に配分することにある。このようなリスク再配分は二つの効果を持つ。第一は、人々のリスク負担能力に従ったリスク配分がなされるため個々人の安全性(ヒューマンセキュリティ)を高める効果である。第二は、その結果として社会全体としてより大きなリスク負担が可能になるので経済発展を促進する効果である。後者の観点からの研究は、世界銀行など国際機関や学会を中心に理論・制度・実証の各面から近年活発化している。本稿ではその流れに従い、金融制度およびその深化が経済発展に及ぼす影響について、多国データ(88 カ国)を基にして一つの新しい視点から一連の計量経済学的分析を行った。その結果、①金融部門の全般的な深化は確かに経済発展をもたらすこと、②金融部門が深化する場合、それが銀行型金融または市場型金融のいずれか単独の深化であっても経済発展への効果が認められること、③ただしそうした金融深化の効果は経済全体の発展段階のいかんによって異なったものになること、④従って銀行部門あるいは市場部門のいずれを発展させるべきかは国ごとに異なること、などが判明した。これらの結果を踏まえると⑤銀行部門の深化が顕著な日本では今後市場型金融の深化(市場型間接金融への移行)が望まれること、が主張できる。
21世紀COEプログラム「日本・アジアにおける総合政策学先導拠点」
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