並列タイトル等ロンゴス『ダフニス ト クロエー』ノ モノガタリ ブンセキ
Rongosu "Dafunisu to Kuroē" no monogatari bunseki
Narrative structure of Longus' Daphnis & Chloe
一般注記type:text
本研究はロンゴスの恋愛牧歌小説『ダフニスとクロエー』（2世紀末頃）の物語分析を3年計画で行う1年目である。『ダフニスとクロエー』は近代以降、広く親しまれ、近現代の文学や藝術に大きな影響を与えたにもかかわらず、本格的な研究がおこなわれるようになったのは、ようやく20世紀後半になってからであった。日本では翻訳こそ多く出ているが、専門的な研究は申請者による数本の論文以外ほとんどなかった。本研究では、この『ダフニスとクロエー』を、物語が展開される背景世界と主人公の男女の恋物語というメインプロットの両面から分析することで、物語の全体像を浮かび上がらせようとしている。両面とはいっても、実際にはその両者は表裏一体の関係にあり、最終的にはその両者がどのように組み合わさることで物語全体の統一感を醸し出し、徐々に高揚感を高めていくことに成功しているのか、一見素朴に見える物語がいかに綿密な計画の元に構築されているかを、当時の文芸思潮である第二次ソフィスト思潮も踏まえながら、明らかにする。そのために1年目は準備段階として『ダフニスとクロエー』に関する先行研究の再確認をおこない、近年の新しい文献や関連する同時代の古典文学に関する資料を収集した。同時に物語構造の分析については、まずは物語が展開される背景世界の分析を、とりわけ自然描写や紀元前の古典テクストへのアリュージョンに着目して進めており、2年目には研究論文として発表すべく執筆しているところである。
This research is the first year of the three-year project analyzing a narrative structure of Longus' pastoral romance, DAPHNIS & CHLOE (c. the end of the 2nd century). This romance has been very popular after the 18th century and much influenced modern literature and arts. However, serious studies had not been done until the late 20th century. This study tries to investigate the narrative structure of the love story from two different aspects and reveal how DAPHNIS & CHLOE is sophisticatedly constructed.
The first year of the research was a preparatory stage where I have reviewed previous studies and collected recent books and papers on related classical literature of the same period. Furthermore, as the first step of my research, I have been exploring the setting and background of the story, especially focusing on the description of nature and the allusion to classical literature, which I am planning to publish in the second year of my project.
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース（IRDB）（機関リポジトリ）