並列タイトル等ノウ ノ ヒダイカ キコウ ノ カイメイ
Nō no hidaika kikō no kaimei
Mechanisms of brain enlargement
一般注記type:text
進化過程でヒトが巨大脳を獲得した主要な要因は神経幹細胞の多層化にあると考えられている。我々はその責任遺伝子の候補としてJA1を同定し、またその発現強度が多層化に関与する可能性を示唆した。ヒトとマウスのJA1遺伝子の5kbp上流〜1.5kbp下流を単離し、その転写活性をルシフェラーゼ活性で測定した結果、ヒトの配列はマウスよりも強い転写活性を示すことが観察された。2018年度はこのヒトまたはマウスの転写調節領域でマウスJA1を発現するTGマウスの作成、および種間の発現強度の違いをもたらす責任領域の特定を試みた。TGベクターに関しては、exon2内にCre依存的にマウスJA1 cDNAが発現するカセットを挿入した。TGマウスの作成には成功し、ヒトの配列を持つTGマウスは3系統(hJ-TG)、マウスJA1の配列を持つマウス(コントロール)は6系統(mJ-TG)得られた。予想に反してmJ-TGの大脳特異的にCreを発現するEmx1-Creとの交配において、重篤な小頭症が生じた。一方、hJ-TGでは目立った構造上の変化は確認されていない。さらに今後の検討が必要である。また、責任領域の特定に関しては、多種間ゲノム比較に基づいて、上流は5つ、下流は3つ(intron1, exon2, intron2)のブロックに分け、ブロック単位での欠失やヒト−マウス間での配列の入れ換えを行い、その発現活性への影響を観察した。その結果、種間の違いをもたらす主たる責任領域は下流であり、特にexon2はヒト配列において、高い発現活性をもたらすことに必須であることが明らかとなった。exon2はコード領域であり、転写活性にどのように関わるのかは今後の課題である。またこの結果は、2018年度に作出されたTG系統においてexon2内に発現カセットを挿入したことにより、その発現調節機能を損なった可能性を示唆する。
One of the important events for the human brain enlargement during evolution is thought to be the generation of multiple layers of neural stem/progenitor cells. We have identified a candidate gene JA1 for this event. In this study, we have isolated the human and mouse JA1 genes and found that the human sequence had a stronger transcriptional activity than the mouse sequence. We have then generated transgenic mice having a human sequence to be compared with those with a mouse sequence. We have further searched for the genomic region that is responsible for the species-specific difference in the transcriptional activity.
一次資料へのリンクURLhttps://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?koara_id=2018000007-20180438
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