並列タイトル等ギニアワン ニ オケル カイゾク・ブソウ ゴウトウ ノ ジッタイ ト コクサイ キョウリョク
Giniawan ni okeru kaizoku busō gōtō no jittai to kokusai kyōryoku
Piracy and maritime armed robbery against ships in the Gulf of Guinea
一般注記type:text
本研究の目的は、アフリカのギニア湾で多発する海賊・海上武装強盗(以下、海賊問題)に対処し、当該地域における「海洋安全保障」のための方策を検討することである。ギニア湾における海賊問題の解決には、単に海賊組織を取締、処罰するだけでなく、当該地域住民が海賊行為に関与する複合的な問題を検討することが必要である。
海賊問題が深刻になると、EU諸国や国際機関は海賊の取り締まり・処罰のために当該地域の関係諸国に対して様々な支援を提供してきた。しかしながら、海賊行為は減少せず、あまり成果を収めていない。本研究は、なぜギニア湾沿岸諸国の海賊・武装強盗に対する取締・処罰がさほど進展していないのかという点に焦点をあて、問題の背景を主に政治、経済、社会的側面から調査、研究する。また研究では海賊行為および海賊の取締と密接な関連がある3つの主体に着目し、下記の分析を行う。
①海賊・武装強盗の主体である海賊組織に関する分析
②海賊組織の拠点国における海賊組織の取締・処罰の実態
③準地域機構、地域機構、および国際機関の海賊問題に対する取組と問題
今年度は、アフリカにおける過去の海賊・武装強盗の実態を理解するためにデータ収集を行うとともに、海賊・海上犯罪の取締、規制に関する国際海洋法条約等の法制度の確認を行った。次にギニア湾における海賊・海上武装強盗の背景を考察するために当該地域の政治、文化、社会等に関する資料、文献収集をすすめた。さらにギニア湾海賊問題に対処するために必要とされる治安維持機関のキャパシティ・ビルディング、司法機能の強化、および国際協力の実態を明らかにするため、ナイジェリアにおける海上犯罪に関与する組織の調査を行った。これらの研究から、海賊行為が減少しない背景には、治安維持機構のキャパシティの問題とともに、司法制度の機能不全、ガバナンスの問題が海賊・海上武装強盗の増加と関連しており、これまで実施されてきた国際協力が問題解決にさほど寄与していないという現状が露呈している。これらの研究成果の一部を『アフリカ安全保障論入門』(共著、晃洋書房、2019年)において執筆し、刊行した。
The main purpose of this research is to consider what is an appropriate approach to end piracy and maritime armed robbery in the Gulf of Guinea. The dramatic upsurge in the incidents of piracy and maritime armed robbery off the Gulf of Guinea has raised significant concerns and awareness in international society and countries in the region about how to crack down on and punish maritime pirates. Since the mid-2000s, multi-national organizations and EU countries have assisted regional countries to counter piracy but it become clear that international assistance is not fully effective to resolve piracy problems. By examining political, social and economic situations in regional countries, this research shows the current setbacks of piracy policies lies not only in capacities of security sectors, but also in governance and legal institutions in the regional states.
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)