並列タイトル等J.S. バッハ ノ オルガン オンガク ノ カイシャク ニ カンスル ケンキュウ
J S Bahha no orugan ongaku no kaishaku ni kansuru kenkyū
Theological interpretation of Johann Sebastian Bach's organ music
一般注記type:text
本研究は、J. S. バッハのオルガン音楽の分析を通じ、当時の音楽の意味解釈についての諸問題についての方法論を打ち立てようとするものである。バッハの音楽をめぐっては、さまざまな分析や解釈が行われてきた。さまざまな方法論がそれぞれの時代に提唱され研究の一種の流行を形成してきた。それらの方法がお互いに並列したままであり、それぞれの解釈の可能性の関連ということに関しては、研究者らは関心をあまり持ってこなかった。本研究は、バッハの音楽の多義的意味解釈の可能性に注目し、各方法論の解釈学的な布置を明らかにしようとするものである。
本年度の研究では、バッハの《クラヴィーア練習曲集第3部》を主な対象とした。この作品は、純粋な作曲技術の解析、形式分析、同時代の作曲家の様式との比較研究、数象徴などの観点から分析が行われてきた。それらの分析を再検討し、作曲過程、構造との連関に関して、分析にあったて考慮した。今年度は、4つのデュエット (BWV 802−5) および、教理問答コラール (BWV 678-689) の分析を行った。
近年の音楽解釈学の考え方も参考にし、バッハの音楽が当時の脈絡でどのように解釈されたかを、当時のオルガン音楽に関する神学的記述と比較しながら、分析結果との関わりを考察した。
バッハの音楽の分析については、一面的な方法論によって行った研究を、まったく別の観点から行った研究が批判をするという歴史が繰り返されてきた。しかし、音楽的意味というものは、あらゆるコンテクストによって変化するものであるから、テキストとコンテキストの関係性の構造を解析することによって、さまざまな解釈の可能性の互いの関連を明らかにするということが、必要と思われる。本研究は、バッハとその同時代者の音楽的意図と、現代的意味解釈の問題が混同されがちであった近年の諸研究の意義を再評価することにつながる。
This survey is an attempt of theological interpretation of Johann Sebastian Bach's Clavierübung III.
The thesis that this compilation was made to achieve some formal order is generally accepted, but it does not explain Bach's musical intention and purpose of the work. Some argue their allegorical symbolism, but these arguments remain hypothetical. This survey attempts to explain the meaning of this work given the socio-cultural landscape and Lutheran identity of the time.
First, compositional procedures and constructions of Four Duettos (BWV 805-5) and Catechism Chorales (BWV678-689) have been analyzed to expose the vocabularies of Bach's compositional language. Second, the meanings of musical text have been examined reflecting the theological context of his time, using the previous investigations of music-theological writings.
A part of the research result will be reported at the International Musicological Society, Intercongressional Symposium 2019 in Lucerne.
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)