並列タイトル等カイテン エントウ ノ ドウリキガク
Kaiten entō no dōrikigaku
Dynamics of spinning cylinders
一般注記type:text
本研究の完遂には3年度の期間を予定しており,その第2年度である本年度は次の4点を実施する計画であった.
① 研究計画の1年目である昨年度に見出した回転円筒の定常状態をさらに詳しく解析する.
② 以前導出した,高速回転する軸対称物体の近似方程式を解くことによって,高速回転する円筒の時間平均的な運動を予測する,
③ 回転する指輪の不思議な運動を解明するために,回転する円筒の重心軌跡の解析も試みる.この現象は非線形なので,専用PCを用いた数値シミュレーションも行う.
④ 画像解析を用いた実験結果と理論結果を比較することにより,これら理論の正当性を検証する.
まず, ①を行った結果,任意の軸対称剛体の定常状態はプログレード(歳差と重心の回転方向が同じ)を示すことを発見し,理論的に証明することができた.
次に②を行った結果,数値シミュレーションとのよい一致が得られた.
そして③については,専用PCを用いた数値シミュレーションコードを作成し,回転する円筒の重心軌跡を数値的に予測することができる状態となった.しかしながら,方程式の複雑さのために,理論的な解析結果は得られなかった.
最後に④を行うために,シドニー大学名誉教授のクロス氏を訪問した結果,定常状態については理論と実験がほぼ一致し,理論の正当性が検証できた.なお,数値シミュレーションコードのバグを見つけ修正できたことは共同研究の大きな成果であった.
なお,計画外の大きな成果があった.クロス教授を訪問した際に議論した頂部を平面で切断した剛体球の運動を理論的に解析した結果,数値シミュレーションと一致する新たな事実を発見したのである.この研究成果は,2020年8月に開催予定のイタリア,ミラノにおける国際シンポジウムで発表する予定であるが,COVID-19の影響で今後中止あるいは延期される可能性が高い.
The results of the present study in the academic year 2019 are summarized as follows:
1. It is analytically found that any axisymmetric bodies show prograde motions in their steady states.
2. The motions of spinning cylinders are numerically reproduced, which agree well with experiments.
3. A new fact was theoretically found for the spinning motions of a truncated sphere, which agree well with numerical simulations.
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