並列タイトル等イリョウヒ ノ コウリツカ オ ハカル タメ ノ ジョウホウ キョウユウ システム : デンシ オクスリ テチョウ ト デンシ カルテ ノ キョウユウカ
Iryōhi no kōritsuka o hakaru tame no jōhō kyōyū shisutemu : denshi okusuri techō to denshi karute no kyōyūka
一般注記type:text
日本では2012年に団塊の世代が65歳となった。団塊の世代は5年後には後期高齢者となり4人に1人が75歳以上という、本格的な超高齢化社会を迎える。医療費は過去5年、年平均2.4%のペースで伸びて2015年度は41.5兆円となっている。全年齢における一人あたり平均約31万円に対し、高齢者は約72万円と、老年人口の増加による医療費の増加は、財政がひっ迫してくる中で非常に大きな問題となっている。特に薬剤費は9兆円で、医療従事者の人件費(約19兆円)の次に医療費の中で大きな割合を占める費用である。そのような薬剤において患者の飲み残しによる「残薬」は、無駄という問題に加え、適切な薬剤の服用の阻害による症状の悪化という点からも非常に問題となっている。
この残薬に関する先行研究は少なく、地方部を主に調査が行われてきたこと、また潜在的な残薬額について研究によってかなりの差(500億円から3000億円)があるのが現状である。よって今後全国の実態を反映した(都市部と地方部両方を)調査が必要であると考える。残薬額が明らかになった上で、医療費の削減という観点から、特に「残薬」の抑制に注目し、潜在的な「残薬」を抑制する方法及びその効果について検討する。加えて患者の医療情報の共有を通じ、医療の効率化を高め、医療費節減につながるよう電子お薬手帳と電子カルテを医療従事者間で活用する仕組みを考える。
具体案としては、現在開発が進められているIoTお薬箱や過去の先行研究で活用があった節薬バックを用いて患者の投薬を管理した上で、電子お薬手帳と電子カルテを統合したようなシステムを開発、運用し、そのシステム上で患者の投薬を医師、薬剤師含めた医療従事者で管理し、医療の効率化を促進する。実現方法としては、現在試験的に運営されている大規模病院間の医療情報共有化システムをベースにそれに近隣の門前薬局などを巻き込んで、小規模な試験的運用を開始する。運用地域に関しては柏市を想定している。柏市は先行の実証研究において、医師・薬剤師間の情報共有システムの構築がすでになされている点と、医師・薬剤師間での連携が取れる下地が整っている点で、恰好の地である。
本試験運用によってセキュリティや費用対便益の問題点を明らかにし、それらの問題点を解決した上で、全国規模にスケールアップを行い展開するという方策を考えてまいりたい。
政策提言書3
一次資料へのリンクURLhttps://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?koara_id=KO12005001-00002017-0046
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)