並列タイトル等アカルイ ショウライ オ ノゾム ワカモノ ニ イマ クニ ガ デキル コト : デジタル キョウイク オ ジク トシテ
Akarui shōrai o nozomu wakamono ni ima kuni ga dekiru koto : dejitaru kyōiku o jiku toshite
一般注記type:text
内閣府の調査によると、日本の13から29歳の若者のうち、将来に希望を持てていない者は全体の4割に及ぶ。これは国際的に比較しても非常に低い水準になってしまっている。本提言は日本において、将来に希望を抱くことのできる若者の数を増加させることを目標とするものである。
将来への希望を抱くことができるか否かという点と幸福度には深い関係があることが知られている。さらに幸福度のうち、人生の目的などを意味するeudaimonia型の幸福が重要である。eudaimonia型の幸福を醸成するためには「自分のやりたいこと」や「社会的な繋がり」が重要である。そして、これらを根底で支える概念が自己肯定感である。つまり、本提言の目的を達成するためには、若者の自己肯定感を底上げする必要があると言える。私はこのために教育は重要な役割を担っていると考える。実際、学校において文部科学省が推進する子供の自己肯定感を向上させることを目的とした取り組みは多数存在する。しかし、現状として先の調査結果のようになってしまっている。この原因として、学校教育における自己肯定感という概念の理解が低いことなどが先行研究で指摘されている。教育研究の中では、自己肯定感はさらに細分化されており、カリキュラムによって醸成される要素に違いがあり、それが子供に及ぼす影響も異なるとされている。このような点を意識していないがために、既存の教育では子供の自己肯定感の向上に寄与しきれていない点があるのではないかということである。
これらの点を踏まえて、本稿では、先に述べたやりたいことの発見と社会性の獲得に寄与できる教育カリキュラムを「総合的探究の時間」にメタバース技術を応用して実装することを提案する。メタバース技術を応用する必要性は、地理的な制約を超えて様々な人と関わり合うことができるという特徴に注目したためである。具体的には、博士課程教育リーディングプログラムのグループプロジェクト演習やキャリアパス講演の取り組み、その他既存の民間事業の取り組みをモデルとして「自己肯定感を向上させるための教育カリキュラム」に求められる特徴を分析した。そして、実際に学校でこのようなカリキュラムを実施するために必要な取り組みとして、学校教員と教育系YouTuberの協働を提案する。これらの取り組みを行うことによって、若者の自己肯定感の底上げがされ、将来に希望を抱く若者の数が増えることのみでなく、デジタル教育におけるコンテンツ不足という課題への貢献も期待される。
提言先
文部科学省 デジタル推進課
2022年度発表者 政策提言書05
一次資料へのリンクURLhttps://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?koara_id=KO12005001-00002022-0104
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)