並列タイトル等ジゾク カノウナ リンギョウ ノ ジツゲン オ メザシタ テイゲン : ヒトリ ヒトリ ノ ナエギ イクセイ カラ ハジマル イシキ カイカク
Jizoku kanōna ringyō no jitsugen o mezashita teigen : hitori hitori no naegi ikusei kara hajimaru ishiki kaikaku
一般注記type:text
日本の林業を取り巻く環境はここ十数年で大きく変化しており、木材自給率や総需要量、製材品価格は徐々に回復傾向にある。この背景には、地球温暖化対策として二酸化炭素排出量の一部を森林吸収量で確保する目標が明文化されたことや、バイオマス発電の増加、また間伐材の利用や国産材の使用が政策として推進されてきたことが挙げられる。
しかしながら、造林や育林、伐採を担う森林所有者を取り巻く環境は依然として厳しく、森林所有者の収入に直結する丸太価格や山元立木価格は低迷している。この点について様々な原因が指摘されており、例えば間伐材の増産による丸太の買い叩きや、製材コストの上昇が山元立木価格に転嫁されている等の声が上がっている。
森林所有者でつくる日本林業経営者協会は2020年、「新時代の森林管理・林業経営に向けた提言」を作成し、現場の声を反映した詳細な現状分析を行った。それによると、無垢製材品需要の喚起が丸太価格や山元立木価格の上昇に不可欠であり、補助金に頼らない持続可能な林業につながるとされる。また森林環境教育として木育の重要性を指摘し、特に人と森のかかわりを増やし森林への思い入れを深めることで、社会における森林管理の意義を学ぶことが必要であると指摘した。
そこで本提言では、日本の森林の適正管理を促すことを目的として、森林と人のかかわりを増やし、かつ林業の生産性を高めることを目指し、一人ひとりが樹木の苗木を育成し寄付する施策の提案と育成補助デバイスの開発に関する報告を行う。提案する仕組みは一人ひとりが苗木を育成し寄付することで森に愛着を持ってもらい、同時に苗木コストの削減や林業製品の付加価値向上を狙う新たな生活様式である。また新たな生活スタイルの実現において最大の障壁となる、個人で植物を育てる際の手間を取り除くための、補助デバイスの開発を行っている。提言では実現に向けた実務的または政策的な課題や、これまでの取り組みの成果を述べる。本提言の実現により一人ひとりの木育が推進されるとともに、林業製品の付加価値が向上し、補助金に頼らない持続可能な林業の実現が期待される。
提言先:林野庁、地方自治体
2022年度発表者 政策提言書03
一次資料へのリンクURLhttps://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?koara_id=KO12005001-00002022-0066
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)