並列タイトル等フルーツ ノ ケイザイガク
Furūtsu no keizaigaku
Economic analysis of fruits
一般注記type:text
フルーツの持つ多様性を検証するため、「新宿高野」のご協力のもと、静岡のメロン農家、千葉のいちご農家を訪ね、高付加価値産品の栽培について取材を行った。その結果、どのようなフルーツもコストをかければ高い品質の商品に仕上げることが可能であることがわかった。ただ、それをビジネスとして考えたとき、消費者がその産品にどこまで価値を見出すかに依存するという点を忘れてはならない。たとえば、マスクメロンには1玉1万円~2万円を出す消費者はいるだろう。その表面の繊細な編み目が贈答品としての品格を形成するからだ。しかし、赤梨はどのようにコストをかけて高品質の産品を生産したとしても、それに1玉3000円を出す消費者はいないだろう。つまり、消費者がおのおののフルーツにどれだけの価値を見出すかによって生産者はどこまでコストをかけて高品質のフルーツを栽培できるかが決まるのである。このメロンは一例であるが、他にも、いちご、ぶどう、桃などの産品について同様のことがあてはまる。他方、スーパーマーケットで売られているフルーツは果専店のそれとはまったく事情が異なる。ここでは「あまおう」「サンふじ」などの銘柄がブランド価値を形成し、それをどの農家が栽培したかについて消費者はほとんど気にとめない。また、スーパーのフルーツは店舗の入り口の「飾り」であり、スーパーの売り上げにはほとんど寄与しないものの消費者を明るい気分にさせ、買い物意欲を高めるという効果がある。
これらフルーツの持つ多様性を今後も探究していく予定である。
According to the investigation of fruits farmers and their merchants, almost every kind of fruits can be a product of high quality by spending considerable amount of cost. This managerial strategy, however, is not necessarily successful if customers appreciate the market value of each fruit. In case of muskmelon they spend more than 10 thousand yen for just one, but hardly spend more than 3 thousand for one Japanese red pear even if a farmer can cultivate high quality of pear with considerable amount of cost. In this sense, consumer's evaluation is a decisive element of pricing strategy in a fruits market. On the other hand, in supermarkets fruits do not contribute to the profit but play an important role as an entrance ornament. This diversity that fruits have will be more deeply investigated in the future research.
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