並列タイトル等Molecular Dynamics in failure initialtion of polymeric materials
タイトル(掲載誌)平成17(2005)年度 科学研究費補助金 基盤研究(C) 研究成果報告書 = 2005 Fiscal Year Final Research Report
一般注記メチレンユニット数の異なる一連の直鎖状アルカンの近赤外(NIR)吸収スペクトルを評価することで、主鎖のメチレン由来のC-H伸縮振動と末端のメチル基由来のC-H伸縮振動の吸収ピークを帰属した。また、分岐状態の異なる各種ポリエチレンにおいても末端メチル基由来の振動吸収ピークを評価できることがわかった。さらに、ポリエチレンの溶融過程のNIR吸収スペクトル測定を行うことで、結晶相、非晶相それぞれの吸収ピークへの寄与を明らかにした。以上の帰属に基づき、昨年度製作した装置を用いて、一軸延伸過程中の各種ポリエチレンの分子振動状態をその場観察した。すべての試料において、降伏後のネック発現領域で、結晶相由来のNIR吸収スペクトル強度の減少と非晶相由来の吸収強度の増加が見られた。このことは、ネック発現領域で結晶の破砕を伴う大きな構造変化が起きていることを示唆する。高密度ポリエチレン(HDPE)および低密度ポリエチレン(LDPE)の破損後の分子振動状態は、溶融状態における分子振動状態と一致し、降伏点以降の分子鎖の振動状態は非晶鎖と等しいことが分かった。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)では、破損後も分子の振動状態は非晶鎖とは一致せず、結晶中と等しい振動状態を示し、LLDPEでは球晶の破壊後も分子鎖は結晶格子中と同等の束縛状態にあることが分かった。このことから、結晶相における分子鎖の充填状態の違いによって、HDPE、LDPEでは降伏において球晶のラメラクラスターユニットへの破砕が起こるが、LLDPEではラメラクラスターユニットへの破砕に優先して結晶からの鎖の引き抜きや解きほぐれが起こっていることが分かった。
A rheo-optical study has been developed to examine the nature of the structural changes, using the near-infrared spectroscopy. In this work, we investigated the strain (ε) dependence of structural changes of isotactic polypropylene (iPP) and polyethylene (PE) materials during uniaxially stretching using a rheo-optical technique ; in which the near-infrared spectra and tensile stress were simultaneously measured as a function of elongation time. It was found that the absorption coefficients of near-infrared spectra had a minimum at yield point and then reached a maximum at around the neck initiation, indicating that the main-chain motion is restricted by stretching up to the yield point. The yield point could represent the onset of the release of the molecular motion.
研究課題/領域番号:16550172, 研究期間(年度):2004-2005
出典:「高分子材料の破壊・破損の瞬間における分子鎖のダイナミックス」研究成果報告書 課題番号16550172 (KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) 本文データは著者版報告書より作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/search/?qm=70260560
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16550172/
https://kaken.nii.ac.jp/report/KAKENHI-PROJECT-16550172/165501722005kenkyu_seika_hokoku_gaiyo/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)