タイトル(掲載誌)平成21(2009)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究実績の概要 = 2009 Research Project Summary
一般注記金沢大学医薬保健研究域医学系
本年度は、LRH1による下流分子の発現制御機構に関する解析を進めるとともに、LRH1が他の転写因子とネットワークを形成している可能性を見い出した。LRH1による細胞周期関連分子Cdk2およびサイクリンEの発現制御機構に関しては、Cdk2およびサイクリンEの発現制御領域と思われる領域を単離し、Luciferaseをレポーター遺伝子として用いた実験を行った。その結果、発現制御領域にはLRH1の結合配列が見い出されず、これらの分子がLRH-1によって直接制御されているわけではないことが示唆された。これとは別に、LRH1が転写制御因子Dax1の発現を正に制御していることも見出した。興味深いことに、ある種の細胞においてはDax1はLRH1の負の制御因子として働くことが報告されている。これらのことから、ES細胞においてLRH1とDax1が互いに制御ループを形成している可能性が考えられた。さらにDax1が自己複製に必須な転写因子であるOct3/4に結合して、そのDNA結合能を阻害することを見い出した。一方で、Oct3/4はDax1の発現制御領域に直接結合し、その発現を正に制御していることも明らかにした。これらのことからES細胞においてDax1とOct3/4も互いに制御ループを形成していると思われる。以上の知見を総合すると、ES細胞において増殖を制御しているLRH1が、自己複製を制御しているOct3/4と、Dax1を介したクロストークを行っている可能性が考えられた。
研究課題/領域番号:20058011, 研究期間(年度):2008 – 2009
出典:研究課題「オーファン核内受容体LRH-1によるES細胞の増殖制御機構」課題番号20058011(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20058011)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=53859&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=70260536
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20058011
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)