タイトル(掲載誌)平成19(2007)年度 科学研究費補助金 特定領域研究 研究実績の概要 = 2007 Research Project Summary
一般注記出版タイプ: AM
金沢大学理工研究域物質化学系
結晶は、膨大な数の分子が三次元に規則正しく自己集積したもので、それが外部からの刺激に対して可逆に応答できることは、次世代記録媒体開発の出発点となる。最近、我々の研究グループでは、分子内に2つのCp*配位子(η^5-C_5Me_5)と光応答機能の担い手となるジチオナイト配位子(μ-O_2SSO_2)を有するロジウム二核錯体[(Cp*Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-0_2SSO_2)](1)が、結晶相で光応答を示すことを見出した(μ-O_2SSO_2〓μ-O_2SOSO)。平成19年度には、錯体1の結晶中のCp*配位子の運動を詳しく調べるために、Cp*配位子の水素原子を全て重水素化したCp*^<d15>配位子(η^5-C_5(CD_3)_5)を有する錯体[(Cp*^<d15>Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)](1-d_<30>)を合成した。錯体1-d_30の温度可変固体2H NMR測定とスペクトルの波形解析によって、反応空間を形成する配位子の運動に関する詳細な検討を行った。その結果、(1)Cp*配位子の運動モードは、「配位子のC_5軸に沿った回転運動」であること、(2)結晶中で非等価な環境にある1分子中の2つのCp*配位子の回転運動の活性化エネルギーは、33±3と7.8±1kJ/molであることが分かった。さらにCp*環の化学修飾に成功し、種々の新規ジチオナイト錯体の合成に成功している。これら新規ジチオナイト錯体の単結晶フォトクロミズムについて系統的に検討し、温度可変固体2H-NMRの測定によって、結晶中での光応答空間の動的挙動を詳細に明らかにすることができた。興味あることに、n^-プロピル置換基を導入した錯体を用いると、不斉結晶化を利用した絶対不斉光異性化反応が進行することを見出した。本年度得られた成果は、日本化学会第88春季年会を含めた学会、討論会で発表した(国際会議3件、国内8件)。また、2報の学術論文発表と1件の特許出願を行った。
研究課題/領域番号:19027020, 研究期間(年度):2007
出典:「遷移金属-カルコゲンユニットの協同効果による結晶相外部刺激応答錯体の開拓」研究成果報告書 課題番号19027020(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19027020/)を加工して作成
関連情報https://nrid.nii.ac.jp/ja/search/?kw=70101285
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19027020/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)