タイトル(掲載誌)平成18(2006)年度 科学研究費補助金 萌芽研究 研究概要 = 2006 Research Project Summary
一般注記金沢大学医薬保健研究域医学系
本研究の目的は、「内在性分泌型RAGE(esRAGE)タンパクは、自然免疫・粘膜防御を担う重要な液性因子である」という仮説を検証することである。1.esRAGEと病原微生物、特にListeria monocytogenesとの相互作用の解析(1)表面プラスモン共鳴法を用いた実験において、esRAGEとL.monocytogenesが直接結合することが明らかになり,そのリガンドは鞭毛タンパクflagellinであった。その結合解離定数は約10^<-8>Mであった。(2)esRAGEタンパクが鞭毛タンパクflagellinと結合することで、L.monocytogenesの運動を抑制した。増殖阻害活性、殺菌作用、オプソニン効果は認めなかった。(3)flagellinはesRAGBのみならず膜型RAGEにも結合することがわかり、その結合によってRAGE細胞内シグナルであるNFκBが活性化が生じた。2.RAGE/esRAGEを共に欠損するRAGEノックアウトマウスを用いた感染実験(1)RAGE+/+マウス由来腹腔マクロファージの方が、RAGE-/-マウス由来腹腔マクロファージよりL.monocytogenesの処理能力が高かった。(2)RAGE/esRAGE系はマウスのリステリア感染に対して防御的に働いていた。a.2種類の遺伝背景のマウスで感染実験を行った。B6、CD-1ともにRAGE+/+マウスの方がRAGE-/-マウスに比べて有意に生存率が高かった。b.定量的に臓器単位面積当たりのL.monocytogenesの病巣部数を数えたところ、RAGE-/-マウスの方が有意に多かった。c.組織学的炎症の程度もRAGE-/-マウスの方が有意に重症であった。以上の結果から,esRAGEのみならず膜型RAGEを含めたRAGE/esRAGE系は,病原微生物に対する防御作用を担う生体因子であると考えられた。
研究課題/領域番号:16659116, 研究期間(年度):2004 – 2006
出典:「内在性分泌型RAGEタンパクの病原微生物に対する防御作用」研究成果報告書 課題番号16659116(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16659116/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=54115&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://nrid.nii.ac.jp/ja/search/?kw=90251917
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-16659116/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)