タイトル(掲載誌)平成14(2002)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究概要 = 2002 Research Project Summary
一般注記金沢大学医薬保健研究域医学系
代謝型グルタミン酸受容体mGluRは中枢神経系の最も一般的な興奮性伝達物質グルタミン酸を受容し、学習・記憶の生物学的基礎であるシナプス可塑性に関与する重要な受容体である。近年発現系を用いた研究によってmGluRがグルタミン酸だけでなく細胞外カルシウムによっても活性化あるいは機能修飾される可能性が示唆された。本研究では1型mGluR(mGluRl)を自然発現する単離培養マウス小脳プルキンエ細胞を標本として、細胞外カルシウムが実際に中枢ニューロンの自然発現mGluRの機能に影響を与えるか否かを検討した。カルシウム・イメージングにより、mGluRlにカップルした細胞内ストア・カルシウム放出を測定した。生理学的濃度(2mM前後)の細胞外カルシウムをプルキンエ細胞に急速投与すると、この細胞内ストア・カルシウム放出が起こることを観察した。またこの反応はmGluRlノックアウト・マウス由来のプルキンエ細胞では見られなかった。これらの結果は細胞外カルシウムが中枢ニューロン自然発現mGluRを直接活性化し得ることを示している。パッチクランプ法によってmGluRlとカップルした内向き陽イオン電流を指標に、プルキンエ細胞mGluRlのグルタミン酸類似体DHPGに対する応答性を調べた。2mMの細胞外カルシウムの存在下では非存在下に比べて低濃度のDHPGによって内向き電流を活性化できた。また2mMの細胞外カルシウムは内向き電流の振幅を増大させ、不活性化を加速することが分かった。これらの結果から、細胞外カルシウムが中枢ニューロン自然発現mGluRのグルタミン酸応答性を増強することが明らかになった。本研究の成果は生理的条件下で細胞外カルシウムが恒常的にシナプス可塑性などmGluRの関与する中枢ニューロン機能を促進していることを示唆している。
研究課題/領域番号:13780630, 研究期間(年度):2001-2002
出典:「中枢ニューロンの代謝型グルタミン酸受容体応答に対する細胞外カルシウムの作用」研究成果報告書 課題番号13780630(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13780630/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=54917&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=80303270
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENH-PROJECT-13780630/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)