タイトル(掲載誌)平成16(2004)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究概要 = 2004 Research Project Summary
一般注記金沢大学理工研究域
昨年度までの研究に引続き,偏極代数多様体の幾何学的不変式論の意味における安定性と定スカラー曲率Kahler計量の存在とが同値になるという予想,いわゆる「偏極代数多様体に対する小林・Hitchin対応」を中心に研究した.この予想をFano多様体と呼ばれる,反標準直線束が豊富な射影的代数多様体の場合に考えると,安定性とEinstein・Kahler計量の存在の同値性の問題となる.この観点から,TianはFano多様体に対してK安定性とCM安定性という二種類の安定性を導入し,Fano多様体がEinstein・Kahler計量を持つとき,K安定にもCM安定にもなるということを示した.一方,一般の偏極代数多様体に対しては,CM安定性はすぐに一般化することができるのだが,K安定性の方は技術的困難により,素朴には一般化することができない.しかしながら,昨年度までの研究成果に基き,K安定性の概念を一般の偏極代数多様体にまで一般化することができた.一方,Donaldsonもまた,K安定性を別の枠組みを用いて定義している.そこで,二つのK安定性を比較してみた結果,退化するファイバーが正規の時には二つの定義は一致することが解った.また,二つのK安定性を比較してみた結果,幾何学的不変式論の枠組みである,Hilbert点の意味での安定性との関連が深いことがわかった.さらに,これまでに得られた研究成果を見直し,満渕により導入されたChow点の意味での安定性に対する障害と板東・Calabi・二木指標が非常に密接な関係があることを考察し,二次元複素射影空間を一点でブローイング・アップした複素曲面は満渕の障害が消えないことを示した.
研究課題/領域番号:14740033, 研究期間(年度):2002 – 2004
出典:「偏極代数多様体族と小林・Hitchin対応」研究成果報告書 課題番号14740033(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14740033/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=54866&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=90250662
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-14740033/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)