タイトル(掲載誌)平成16(2004)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究概要 = 2004 Research Project Summary
一般注記金沢大学附属病院
我々のグループはヒトPBC肝組織にて、病期の進展に伴い発現遺伝子群が変化していくことを、cDNAマイクロアレイを用いた多数遺伝子発現をもとに解析した。これから、臨床的にPBCが顕性化した病期を解析するだけでは、PBCの病態を理解するためには不十分である事が判明している。本研究においては、自己免疫反応の生じ始めた段階に遡り、更にどのようなカスケードにて免疫現象が進行し、胆管の消失に至るかの解明を試みた。このためにPBCに必須ともいえる<胆管特異的><PDC-E2>という2つの条件をみたしたCK19-PDCE2 Tg miceの作製に成功した。蛋白の発現はmRNA及び蛋白発現にて証明された。また、系統の掛け合わせにより、発現量を更に多いdouble transgenic miceの系を確立した。これらCK19-PDCE2 Tg miceにおける発現形質の解析を行った。自然発症の有無が今回の実験目的の大きな課題の一つであったが、通常のTg mice50匹を生後1年の時点でsacrificeしたが、組織学的に胆管障害は認めなかった。また、肝機能検査にて血清ALT, ALPは正常範囲内であり、PBC診断の血清学的マーカーの一つとされている抗ミトコンドリア抗体も陰性であった。Double Tg miceについては、現在長期観察中だが、生後24週の時点でのsacrificeでは陽性所見は認めなかった。PBCの病因として、PDC-E2の胆管細胞細胞質での異所性発現が原因か結果かについて、以前より議論のあるところであった。本研究で作製したマウスにおいて、PDC-E2異所性発現のみではPBCを惹起し得なかったことは、今後の病態機序解明において有用であった。(2004年アメリカ肝臓病学会にて口演発表)今後何らかのsecond hitが必要なのかについて更に検討を加え、PBCの発症機序を包括的に解析し、それを踏まえて効果的な治療法の開発に繋げることが可能である。
研究課題/領域番号:15790341, 研究期間(年度):2003 – 2004
出典:「胆管細胞特異的PDC-E2発現マウスを用いたPBCモデルの作製およびその解析」研究成果報告書 課題番号15790341(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15790341/)を加工して作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=80345610
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15790341/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)