タイトル(掲載誌)平成16(2004)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究概要 = 2004 Research Project Summary
一般注記金沢大学理工研究域
本研究ではAl-Mg-Sc合金を用いて,第二相析出物を含む超微細結晶粒材料の疲労挙動と転位組織の関係を明らかにしようとした研究であり,平成16年度はAl-1mass%Mg-0.27mass%Sc合金のECAP後の試料における,焼鈍に伴う機械的特性の変化特に高サイクル疲労挙動について調査を行った.1.ECAP後の試料(ECAP材)は降伏応力・引張強さ(303,333MPa)は高いが,降伏後直ちにネッキングを生じ応力低下を引き起こし早期破断(破断伸び:8.5%)に至る.2.ECAP後試料に350℃に置いて15分,1時間の焼鈍を施した試料では,降伏応力と引張強さは低下するが,均一伸び・破断伸びは改善した.3.降伏応力の30%〜60%の一定応力振幅下での高サイクル疲労寿命はECAP材が一番短く,焼鈍を施すことで2倍以上の疲労寿命の改善が見られた.4.ECAP材では繰り返し変形中に動的回復・再結晶により結晶粒径が200nmから1μm以上へと粗大化している箇所が観察され,このような箇所で変形の局在化が起こるため疲労寿命が短くなると理解できる.5.一方,両焼鈍材では結晶粒内・粒界に析出したAl_3Sc析出物により,ECAP材に見られたような動的回復・再結晶は抑止される.その結果,変形の局在化は生じず変形は均一となり,疲労寿命が改善する.また,ECAP加工を施していない通常の材料に時効熱処理を施し,ECAP材と同じ程度の析出物サイズを持つ試料を作成し同様な試験を行い,Al_3Sc析出粒子の分散状況の変化に伴う,繰り返し変形挙動と内部転位組織の変化の調査も行った.その結果,Al_3Sc析出粒子が小さいとき(4〜5nm程度)は運動転位による粒子のせん断が起こり,疲労軟化が起こること,一方大きいときには変形は均一となり,疲労軟化現象が生じないことを明らかにした.
研究課題/領域番号:15760489, 研究期間(年度):2003 – 2004
出典:「超微細結晶粒を持つAl-Mg-Sc合金の繰り返し変形における転位組織図の構築」研究成果報告書 課題番号15760489(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15760489/)を加工して作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=60345600
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15760489/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)