タイトル(掲載誌)昭和63(1988)年度 科学研究費補助金 がん特別研究 研究概要 = 1988 Research Project Summary
一般注記金沢大学がん研究所
新しい化学構造ないし作用機序をもつ新しい合成制癌剤の開発を目指して、主に複素環化合物類の化学合成を行い、それら新規合成化合物の分化誘導活性と鶏卵法やヌードマウスを用いてヒト癌を含めた抗癌活性の検討を行った。1.既知制癌剤AraC と5FUの療法の性質を兼ね備えた新規化合物2'-メチリデンシチジンが顕著な抗白血病作用をもつことは前年度に報告した。今年度はこの物質の制癌効果を更に検討した結果:(1)静脈内及び経口投与でも有効である(2)AraCや5FUとは異なりP36(ヒトメラノーマ)にも有効である(3)Lewis 肺癌、M5076肉腫に対しても顕著な効果を示す(4)マウスでの骨髄毒性は、AraCに比して弱いこと等が明らかになり、ヒト固型腫瘍にも有効な新規制癌剤として極めて有望であることが確認された。2.新たにイミダゾールヌクレオシド類を合成し、その制癌活性を検討中であるが、invivoの実験系で腫瘍に対する選択性が極めて高く且つ毒性の低い物質であることが確認され、今までに報告されていないタイプの新規制癌剤として期待される。3.チロシンキナーゼ阻害剤であるハービマイシンAによるヒト骨髄性白血病細胞(K562)の分化誘導と増殖抑制効果を詳細に検討の結果、癌遺伝子産物の活性を特異的に抑制する薬剤は、分化誘導を介して制癌効果を発揮することが明らかになった。この新知見は、今後の新規合成制癌剤開発の重要な指針となるものと考えられる。4.新たに合成したフツ素あるいは水酸基を有する2種類のブスルファン誘導体(BFSおよびBIT)はいずれもブスルファンに比べて有意に坦癌動物に対する延命効果が優れており且つ動物に対する致死効果が小さい。これら誘導体は、chromic myeloid leukemia治療薬として、ブスルファンに勝る効果が期待される。
研究課題/領域番号:63010031, 研究期間(年度):1988
出典:「新しい合成制癌剤の開発」研究成果報告書 課題番号63010031(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63010031/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=54027&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=90109976
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63010031/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)