並列タイトル等Boundary medicine|social medicine|nursing
タイトル(掲載誌)平成26(2014)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2014 Research Project Summary
一般注記金沢大学附属病院
乳腺腫瘍の血流情報は血管新生を反映しているため, 腫瘍の検出や良悪性鑑別に有用である. 磁気共鳴画像(MRI)診断装置による非造影血流評価の一手法であるarterial spin labeling(ASL)が頭部領域で使用されている. このASLを乳腺にも適用できれば, 造影剤の使用なしに乳腺腫瘍の血流評価が行えるためその有用性は極めて高いと考えた. しかし, 血管径や血流速度が乳腺と頭部では異なるために従来のASLをそのまま乳腺に適用できない. 乳腺に適したASLのパルスシーケンスの開発を試みたが, MRI装置のハードウェアの制限により乳腺に最適なASLの開発は不可能であった. そこで, 拡散強調画像(DWI)の信号強度が灌流や細胞内外の制限拡散の影響を受けることに着目し, 乳腺腫瘍の血流および拡散情報を非侵襲的に評価するためにtriexponential拡散解析を試みた. まず, 非浸潤性乳管癌(DCIS)および浸潤性乳管癌(IDC)症例において, 複数のb値のDWIを取得した. 病変部の信号強度をtriexponential関数でフィッティングし, 灌流を主とする拡散係数(Dp)および制限拡散を主とする拡散係数(Ds)を取得した.その結果, DCISのDsは主に細胞密度の違いのためにIDCのDsよりも有意に大きかった. またDpとDsは, 必ずしも同じ情報を表していないために相関が見られなかった. またDpには2群間に有意差は認められなかったが, IDCのDpはDCISよりも大きかった. これはIDCの新生血管がDCISよりも増加するためと考える. しかし本解析により得たDpはばらつきが大きかったため, 解析精度をさらに向上させる必要がある. 以上より, triexponential関数解析は乳腺腫瘍のより詳細な拡散情報を取得可能であり, DCISとIDCの鑑別に有用となり得ることが示唆された.
研究課題/領域番号:26933007, 研究期間(年度):2014-04-01 – 2015-03-31
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=54393&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-26933007/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)