タイトル(掲載誌)平成12(2000)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 2000 Research Project Summary
一般注記金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系
本年度の研究は、1大日本山林会の活動を中心とした十五年戦争期の愛林運動と総動員体制との関係の解明、 2台湾・朝鮮・満州・南洋など旧大日本帝国植民地における林業政策・森林政策の分析を通した愛林運動・愛林思想と植民地主義の関係の解明、以上の2点に関しておこなった。前者については主として大日本山林会発行の機関誌「大日本山林會報」および「山林」の記事の分析を通して、「御大典記念緑化運動」から「挙国造林運動」へと至る一連の愛林運動の歴史が、十五年戦争期のいわゆる「総動員体制」と密接な結びつきを有していたことを明らかにした。それは植樹や造林、森林保全、森林愛護など様々なキャンペーン活動を通じた特殊な国土認識の生産と国民的共感の醸成という役割であった。なお、これらの成果は「北陸史學」誌上で発表した。後者に関しては同じく「大日本山林會報」および「山林」誌上の植民地林業に関する論説や記事の分析を通して、台湾・朝鮮・満州・南洋のそれぞれの植民地に対する当時の林学者および植民地林業官僚の植民地主義的な森林観・林業観を明らかにするとともに、そうした森林観・林業観と「大東亜共栄圏」や「東亜新秩序」といった地政学的イデオロギーとのつながりにも言及した。その結果、十五年戦争期の植民地林業および森林に対する認識は、「本土」から「国土」「大東亜新秩序」そして[大東亜共栄圏」へと至る地政学的認識のヒエラルヒカルな構造と一定の対応関係にあることが明らかとなった。なお、これらの成果は2000年8月に韓国大邱市で開催された第2会国際批判地理学者会議で報告し、2^<nd> International Critical Geography Conference : for alternative 21^<st> century geographies誌上で公表した。
研究課題/領域番号:11780062, 研究期間(年度):2001-2004
出典:「戦前・戦時期日本における愛林運動の展開と愛林思想の形成」研究成果報告書 課題番号11780062(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) ( https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11780062/ )を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=54433&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=90217703
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11780062/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)