タイトル(掲載誌)平成11(1999)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1999 Research Project Summary
一般注記金沢大学人間社会研究域学校教育系
平成10年度に引き続き、粥状動脈硬化の病理的特徴の1つである内膜の平滑筋細胞増殖による線維性肥厚に焦点を絞り、粥状硬化の発生メカリズムならびに発症予防に対する運動の効果について検討した。9週令のWistar-Kyoto系雄ラット30匹を10匹ずつ3群に分けた。高脂肪食群のラットは20週間普通食で飼育し、その後の8日間、餌を高コレステロール食に切り替え、さらに粥状硬化の誘発作用が報告されている脂肪乳剤(イントラリピッド)を、体重100g当り1mlの割合で1日2回、尾静脈から静注投与した。運動群には9週令から28週令の間、強制水泳を1日60分間ずつ毎日負荷し、その後8日間は運動を中止して餌も普通食から高コレステロール食に切り替え、高脂肪食群と同様に脂肪乳剤を投与した。また、対照群は21週間運動させず普通食して飼育した。29週令まで飼育したラットを、ペントバルビタール麻酔下において開腹し、胸部下行大動脈(組織切片用と平滑筋培養用)の摘出後、頚椎脱臼法により安楽死させた。組織切片用の胸部下行大動脈は、免疫組織化学的染色を施して、動脈壁の構造や成分を比較検討した。また平滑筋培養用の胸部下行大動脈からは、中膜平滑筋細胞を分離し、CO_2インキュベーターを用いて継代培養し、平滑筋細胞の遊走能を比較した。その結果、高脂肪食群ラットの胸部下行大動脈壁の内膜において軽度の肥厚が認められたが、大動脈壁の中膜に特異的なコラーゲン陰性エリアは認められなかった。中膜平滑筋細胞遊走能は、胸部下行大動脈壁の内膜肥厚が強いラットほど、遊走能が高い傾向が伺えた。また、平滑筋遊走能では3群間に有意な差が認められないものの、運動群における大動脈壁内膜肥厚は、高脂肪食群より薄い傾向があり、継続的な運動による粥状硬化症の予防硬化が伺えた。
研究課題/領域番号:10780016, 研究期間(年度):1998 – 1999
出典:「継続的運動が大動脈壁に及ぼす影響(平滑筋脂肪の遊走能および血管壁の組織学的検討)」研究成果報告書 課題番号10780016(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10780016/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=54511&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=70224946
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10780016/
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