タイトル(掲載誌)平成11(1999)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1999 Research Project Summary
一般注記金沢大学医薬保健研究域医学系
表皮角化細胞は,通常は無血清増殖培地で培養されるが,この培養系では増殖した表皮角化細胞の抽出蛋白・培養上清ともウエスタンブロットではPDGFは検出されず,培地にEGFないしbasicFGFを添加したときに培養上清のみからPDGFのバンドが検出された。さらに抗PGDF-AA抗体,抗PDGF-BB抗体を用いて,検出されるPDGFのアイソフォームを検討したところ,表皮角化細胞は主としてPGDF-AAを産生していることが明らかとなった。次に,モルモットの皮膚欠損モデルを用いて,免疫組織化学とin situ hybridizationによって,表皮角化細胞のPDGFの発現とそのアイソフォームを検討したところ,創辺縁部と再生表皮に限局してPDGF-AAの蛋白およびmRNAが発現しており,前述の培養系と一致する結果が得られた。以上の結果から,表皮角化細胞は通常PDGFを発現していないが,サイトカインなどの刺激により増殖期に入ると主としてPDGF-AAを発現するようになり,産生されたPDGF-AAは速やかに分泌されるものと考えられた。創傷治癒過程においては,サイトカインなどにより刺激された表皮角化細胞がPDGFを産生し,分泌されたPDGFが創傷治癒を促進することが示唆された。このような,PDGFを介したサイトカインネットワークが皮膚において,様々な生理的意義を有するものと推測される。
研究課題/領域番号:10770396, 研究期間(年度):1998 – 1999
出典:「表皮角化細胞による血小板由来増殖因子産生機構の研究」研究成果報告書 課題番号10770396(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10770396/)を加工して作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=30281025
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10770396/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)