タイトル(掲載誌)平成10(1998)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1998 Research Project Summary
一般注記金沢大学医薬保健研究域医学系
小脳より抽出したmRNAを注入して不活化しないK電流(IK(ni))をアフリカツメガエル卵母細胞に再構成すると、1996年にWatkins,Marthieらによって記載されたIK(SO)と良く似た電流が観察された。即ち、-60mV以上の深い膜電位から活性化が始まり、20分以上にわたって不活化せず、細胞内Ca上昇を伴うホルモン刺激で一過性に抑制された。本研究では、IK(ni)の分子情報を得るため、遺伝子クローニングを実施し小脳cDNAライブラリーより1つの遺伝子(KCR1)を得た。この遺伝子がコードしていたタンパクは、12回の膜貫通領域をもち、酵母、線虫のゲノムプロジェクトでみつかったものと20-35%の相同性をもっていたが、ほ乳類ではまだ知られていない新規のタンパクであった。この遺伝子cRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入したが、チャンネル活性は認められなかった。そこで、このタンパクが、Kチャンネルの制御タンパクであろうと仮定し、小脳で発現している既知の電位依存性Kチャンネルと卵母細胞に共発現し、電流性質変化の有無を調べた。この実験から、ラットeagKチャンネルの性質を変えることがわかった。ラットeagKチャンネルは、細胞外Mg存在下で、ゆっくり(100msec)と活性化するが、KCR1と共発現すると、この活性化が速くなることがわかった。生化学的に2つのタンパクが、結合しているかを、免疫沈降とFar-westemプロッティングで確かめたところ、これらは複合体を形成していることが確認でき、このことは電気生理のデータを支持した。抗体を作成し、脳内分布を調べたところKCR1は、小脳顆粒細胞層、分子層、海馬CA3領域に多く局在していた。eagは、ほぼ同一部位に局在し、脳内でこれらが複合体を形成し機能していることがわかった。
研究課題/領域番号:09780721, 研究期間(年度):1997 – 1998
出典:「小脳由来の不活性化しないカリウムチャネルの分子機構」研究成果報告書 課題番号09780721(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09780721/)を加工して作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=90229170
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09780721/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)