タイトル(掲載誌)平成10(1998)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1998 Research Project Summary
一般注記金沢大学医薬保健研究域医学系
悪性グリオーマ細胞にはさまざまなタイプの膜電位依存性K^+チャネルが発現しているが、その電気生理学的性質および機能に明確な結論が得られていない。最近になり膜電位依存性K^+チャネルのアポトーシスへの関与が指摘されており、悪性グリオーマ細胞におけるK^+チャネルの解析は重要であると考えられる。そこでまずグリオーマの研究において広く用いられるラットグリオーマC6細胞に対して実験を行った。whole-cell recordingにおいて膜電位を-60mVに固定したC6細胞の外向き電流は-30mVで出現した。この電流は膜電位依存性であった。細胞外K^+濃度が変化した時の反転電位は正方向に移動し、K^+濃度が10倍に変化した際の反転電位の変化は約50mVであった。また、この外向き電流は4-aminopyridine(4-AP)によって抑制された。これらの結果はC6細胞における外向き電流は膜電位依存性K^+チャネルが担っていることを示唆する。single-channel recordingによると、このK^+チャネルの単一チャネルコンダクタンスは11pSであり、チャネルの開時間は脱分極刺激の増大により延長した。さらに4-APによりチャネルのコンダクタンスは変化せず、チャネルの開確率が低下することが判明した。以上の結果は,C6細胞に発現するK^+チャネルは国際分類上rKv2.1であることを強く示唆する。現在、ヒトグリオーマ細胞に発現するK^+チャネルの解析を行っている。今後、アポトーシスとこのK^+チャネルとの関係を追求する。
研究課題/領域番号:09771037, 研究期間(年度):1997 – 1998
出典:「悪性グリオーマ細胞のアポトーシス誘発におけるカリウムチャネルの制御に関する研究」研究成果報告書 課題番号09771037(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09771037/)を加工して作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=60272960
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09771037/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)